この数年はダイエット自体が興味を持たれなくなり、
新聞やテレビで取り上げられることも減ったように思います。
これは、今まで出てきたダイエット法の総体が、
その成否を評価されたからでしょう。すなわち、
日本人のダイエットは成功して肥満が無くなった、または無くなりつつあるのか、
それとも大きな効果が無かったのかのどちらかだということです。
どちらであるかは明らかです。
診察室で診るメタボリックシンドロームの患者さんが減っている様子はないし、
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この数年はダイエット自体が興味を持たれなくなり、
新聞やテレビで取り上げられることも減ったように思います。
これは、今まで出てきたダイエット法の総体が、
その成否を評価されたからでしょう。すなわち、
日本人のダイエットは成功して肥満が無くなった、または無くなりつつあるのか、
それとも大きな効果が無かったのかのどちらかだということです。
どちらであるかは明らかです。
診察室で診るメタボリックシンドロームの患者さんが減っている様子はないし、
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初診の、(体重が重い)患者さんに、
「先生の仰ることが今まで聞いてきたのとは反対なのに、本当かもしれない
と思える。それは、根拠に説得力があるからだと思う」
と言われました。ところが、続きがあって、
「ただ、今までと反対のことを幾つも聞くので、お話が難しいと感じてしまう」
とのことでした。
このブログや私の著書も難しいという評価をいつも受けていて、
その原因の一つは、この患者さんが言うように、
現在の常識と違ったことばかり書いてあるから、と私自身は把握しています。
そのために、現在の常識では現実の出来事が説明できない事例を蓄えて、
患者さんに納得してもらえるよう努めています。
話が難しくなるもう一つ原因は、
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人間を含めた動物は、周囲の環境に適応する能力(学習能力)があります。
春に暑いと感じた同じ気温が、真夏には涼しく感じられるようになりますが、
これは、快適と感じる温度の範囲が、夏には周囲の環境に適応して、高くなったことによります。
このような動物にも共通した適応能力だけでなく、
ダイエットなど、人間に特有の行動にも適応・学習能力を考えることができます。
今行われている
高血圧・脂質異常症・糖尿病など生活習慣病の食事療法には、
いろいろなストレスが付いてきます。
お腹が空くこと、
暴飲暴食や間食ができないこと
カロリー計算で手間が掛かること
体重測定や検査で、思ったほど体重が減らず、検査値が改善していないこと
によるストレスだけでなく、前回の記事で述べた、
も食事療法を敬遠する障壁になっています。
(これらのストレスの解決法は、それぞれのリンク先に述べてあります)
これを乗り越えてもらうために、
糖質制限や食べる順番ダイエットなどのとんでもダイエットには、共通点があります。
それは、実行するのが簡単、すなわち、費用が少ない、と思われていることです。
(実際には、糖質制限を長期間続けられる人が少ないように、
糖質(炭水化物)を減らすには苦痛、すなわち、費用が伴いますし、
食べる順番ダイエットは、ほとんどの人に効果がありません)
このように、
効果(利益)の大きさよりも費用(損失)の少なさの方を高く評価する
傾向が人間にはあり、心理学や経済学の分野では、
「損失回避性」
と呼んで研究の対象にしています。
費用をかけたからと言って、それに比例して効果が出るわけではありません。
このことは、効果逓減(または、収穫逓減)の法則としてよく知られています。
例としては、
肥料の投入を増やしていくと、初めのうちは作物の収穫量が増えていくが、
そのうち、肥料を増やしても、それほど収穫は増えなくなり、
いずれ、肥料をどれだけ増やしても収穫は一定以上増えなくなる、
といったことが挙げられます。
一方、 続きを読む…»
選択と集中という言葉は、会社の利益を大きくするために、
競争力が大きい事業を選択し、それに集中して、他はよその会社に譲渡する(売る)、
のような使われ方をします。
ダイエット・食事療法も、少ない費用で(つらくない方法で)大きな効果を出すためには、
選択と集中が必要です。 続きを読む…»
高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病の患者さんに、
「病気を改善するために、まず何をしようと思いますか?」
という質問をします。
すると、ほとんどの場合には、
「できる範囲で運動」、「暴飲暴食、間食、アルコール、油っこい食品を減らす」、
という、誤った答えが返ってきます。
(患者さんの病状や生活環境を考えるとその答えが正しい場合もあるが、まれです)
誤った原因は次の2つです。
1.消費カロリーの大部分は基礎代謝で、じっとしていてもカロリーは
多く使われている
2.摂取カロリーの大部分はふだんの3度の食事で、カロリーが高くない食品から
摂っている
これらの原因には、
ダイエット・食事療法を実行するときに、平均という考え方ががおおいに役立ちます。
まず、物事を大まかに把握するときに平均値は不可欠な数値です。
ダイエットの分野でも、平均値を見るだけで、次のことが直ちに分かります。
・ カロリーの吸収率はどのような条件でも平均するとほぼ100%だから、
夕食が遅くても、吸収率が高まって太ることはない
(早い時刻に摂っても体重は減らない)
・ 人間は、じっとしていても使うカロリー(基礎代謝)が
平均すると全消費カロリーの6~8割を占めていて、運動をしてもあまり増えない
(毎日30分歩きつづけても体重は5%以上減ることはない)