体重を体脂肪量と除脂肪体重に分けて考えると、体重変化の原因が分かる・その2(この違いが分からずに効果がないことをしている人が多い)

前回から、体重をいくつかの成分に分けて考えると、
その変化を正しく解釈でき、意のままにできるようになる、という話をしています。

検索エンジンやブログ・ランキングからこのブログに来てくれた人は、
前回の記事を読んでからのほうが理解しやすいと思います。

今回は、除脂肪体重を2つに分けたうちで、筋肉・骨や内臓の成分の重さが、
どのような条件で変化するかを見ていきます。
このうち、骨や内臓の重さはあまり変化がないので、筋肉の量が問題になります。

まず、筋肉を増やすためには、蛋白質についての記事で書いたように、

 1) 蛋白質を食事から摂る量を通常の必要量より多くする
 2) 無酸素運動(ウェイトトレーニングなど)を行う

という条件をともに満たす必要があります。
さらに、

 3) 男性ホルモンが多い(男性である)、
 4) 生まれつき筋肉質の体質である、

という通常は自分で変えられないことも必要なので、筋肉を増やすと言っても、そう簡単なことではありません。

反対に、筋肉を減らすためには、別の蛋白質についての記事で書いたように、

 1-) 蛋白質の摂取量を必要量よりも減らす、
 2-) 無酸素運動を(もししていたら)減らす、

のうちどちらかを満たせば十分です。
(andを否定すると、それぞれの否定のor:懐かしいド・モルガンの法則です)

1-) の条件が満たされることがあるのは、
体重を短期間で減らすことをねらってカロリーを極端に減らしたり
(実際に急速に減ります)、
食事の内容にあまり気を使わず炭水化物ばかり摂っていたりするときです。
蛋白質の摂り過ぎで体重が減らない人が多い一方で、
蛋白質が足りなくて、この条件を満たしている人もときにいます。

2-) の条件は、
初めから無酸素運動をしていない人が、今まで通りしないままでいても、
「減らす」ことはできないので、満たすことはできません。

2-) の条件が満たせない人のうちで、
1-) の条件を満たしていない、すなわち、蛋白質を必要量以上に摂っている人は、
(どちらか1つでも満たせばよいのに)
どちらの条件も満たせないので、筋肉を減らすことはできません。

回りくどい言い方をしましたが、ふつうの言い方でいうと、

  • 蛋白質を必要量摂っていれば、
    無酸素運動をしなくても筋肉は減らない

ということです。

これは、よくいわれている、

  ・ 食事を減らすだけで運動しないと筋肉が減る、

という話に矛盾していることに注意してください。
運動しないと筋肉が減る、というのは誤りですが、
そういわれることになった原因は、除脂肪体重の定義に関係しています。
(興味がある人は、青い文字をクリックしてリンク先を見てください)

以上で、体重を構成する3つの成分、すなわち、

体脂肪、水分、筋肉・骨や内臓が
どのような原因で
どう変化するか

を個別に見てきました。

それを下の表にまとめたので、前回と今回の内容を確認しておきます。

体重の
構成成分
  増える原因
  (食事等)
   減る原因
   (生活・運動等)
      変化
 速度  上限  下限
体脂肪 蛋、糖、脂 基礎代謝、有・無酸素  遅  大  大
除脂肪体重 筋肉等 蛋、無酸素 蛋不足  中  小  大
水分 食事、飲水、
月経周期・後半
汗、尿、不感蒸泄、
ダイエット開始時
 速  小  小

体重を構成する成分のうちで、
減らそうとしているのは体脂肪で、そのためには、
増える原因となっている蛋白質・糖質・脂質を減らすのが有効です。

一方、減らしていけないのは筋肉・内臓で、そのためには、
蛋白質不足にならないようにします。
ただし、それは蛋白質を必要量より減らしてはいけないという意味で、
全く減らしてはならないということではありません。

体脂肪を減らす方法を(生活環境や好みに合わせて)実行していくときには、
確かに実行できているか、他の原因で妨げられていないかを知るために、
体脂肪や筋肉の量を確認しながら行う必要があります。

この2つの量の変化は、体重・体脂肪計で測った値と計算で求めた、
体脂肪量や除脂肪体重の変化から推定できます。そのとき、
除脂肪体重に含まれる水分の変動と、体脂肪計の誤差の影響をできるだけ減らすために、

  • 1日のうちで同じ時間帯に測る

ことが必要です。

そのような注意をしても、体脂肪や筋肉量の(真の)変化量が、
変動・誤差よりも大きくなるには通常数日以上の時間が必要です。
真の体脂肪量が減っているのに、誤差がそれを上回ると
測定した値は増えてしまいます。それで意欲をなくしたりしないように

  • 週に1~2回より多く測らない

ほうがよいでしょう。

コメント / トラックバック7件

  1. taijuuh より:

    山本さん

    157cm、45kg、20% でしたら、筋肉量がほぼ足りている~わずかに少なめ、になると思います。もう少し蛋白質を摂った方が良いかもしれません。

    具体的には、毎日摂る食品の中に、今より多く大豆製品を組み入れるとよいのではないでしょうか。

    ちなみに、私の前のコメント中の

      「大豆製品の蛋白質は、そのカロリーが全カロリーの1/3位」

    というのは、納豆を例に挙げると次のようなことになります。

      100gの納豆は、全体のカロリーが200kcal、蛋白質が17g

    なので、蛋白質のカロリーは、

      17×4 = 68kcal

    これが、全体のカロリーに占める割合は、

      68÷200 = 0.34 つまり、ほぼ1/3。

    ゆで大豆や豆腐でも、同じように、

      「大豆製品の蛋白質は、そのカロリーが全カロリーの1/3位」

    というルールは成り立っています。

    麦や米など他の穀物では、蛋白質のカロリーが全カロリーの10%くらいですから、
    (亜麻仁やキヌアの比率はこれより少し高いですが、大豆には及ばないようです)

    それらを減らした分だけ大豆製品を摂るようにすれば、
    1日の総摂取カロリーを変えずに蛋白質をそれまでより多く摂ることができるようになります。
    (数字や計算がお好きならば、こんなページもあります)

    実行するときは、豆乳を増やしてもよいですし、昨今の日本食ブームで海外(コメントのIPアドレスから想像しました)でそれ以外の大豆製品を手に入れるのも、さほど難しくないと思います。

    そうして蛋白質が増えると数か月後には、体重が変わらずに筋肉量が増えて、体脂肪率が少し減るかもしれません。とはいっても、日本人女性なら、よくて体脂肪が2~3%減るくらいでしょうから、気にしない、のもありだと思います。

    ・・・

    カルシウムは骨密度を保つために必要です。
    (カルシウム摂取が少ないと血中カルシウムが下がってイライラしやすくなる、
     という説には根拠がありません。
     人間の体は、血中カルシウムが下がると骨のカルシウムを溶かして、
     血中カルシウムを正常に保つようにできているからです。
     ですから、カルシウムを摂る目的としては、骨のカルシウムを減らさないようにして、
     骨密度を下げないことを考えておけば十分です)

    とはいうものの、日本人は骨密度が低い割に骨折が少ないという調査結果も出ているので、あまり気にしないのも一つの手だと思います。

    気になるなら、菜食主義でもカルシウムを摂りやすい食品といえば、大豆製品や野菜ということになるし、

    > 行きがかり上ビーガン

    で、生乳で下痢を起こしやすいだけなら、
    前のコメントにも書いたように、ヨーグルトを試してみるのはどうでしょうか。

    また、骨密度を保つためには、蛋白質も大事なので、そのためにも大豆製品がよいかもしれません。

    このブログでは、大豆製品を含を含めた蛋白質の摂りすぎへの警告を多く書いているのですが、現代日本人の食生活は多様なので、個人に合わせた食習慣の注意が必要になります。

    そのことに配慮しながら書くと、読む方は、今まで自分が知っていた知識を追認するだけ
    (蛋白質の摂りすぎで体重が減らない人が「蛋白質は必要」と独りごちて蛋白質を減らさない)
    になることが多いので、難しいものだと感じています。

  2. 山本 より:

    迅速かつ明瞭なアドバイスをありがとうございます。大変参考になりました。これを機会に体脂肪率計を購入いたしました。体脂肪率は19.2%-20.2%の間で推移しています。食後30分か1時間以内に測っても22%を超えることはほとんどないです。オムロンの古い機種(手で測るタイプ)なので、どこまで正確かわかりませんが。

    ちなみに、毎日の食事で欠かさず摂取するようにしているものは以下の通りです。
     Flaxseed (亜麻仁「油」ではなく亜麻の粉末):大さじ2杯/日。
     ナッツ(クルミが主です):少々(掌のくぼみに収まる程度)/日。
     豆乳:コップ1-2杯/日。
     全粒粉食パン:薄切り3枚/日。

    豆乳はオーガニックのもので、カルシウムとかは強化されていないものを飲んでいます。なんとなくカルシウム摂取量が少なそうなので、栄養強化したものにしたほうがいいのかも知れません。(栄養強化食品ってなんか別のものもいろいろ入ってることが多いので避けがちなんですが)。なお、ほかの豆類や緑黄色野菜も結構たべています。米・玄米は炊くのが面倒なので、ほとんど食べなくなってしまいました。代わりにキヌアやサツマイモを少量、夕食時にとったりしています。

  3. taijuuh より:

    山本さん

    コメントありがとうございます。ご質問にお答えします。

    > 筋肉量 … 蛋白質の必要最低限

    植物性食品だけからでも蛋白質を必要量摂るのは、それほど難しいことではありません。
    米、麦、いも類、豆類などの穀物には、蛋白質のカロリーが全カロリーの1/10になるくらいに、蛋白質が含まれています。大豆製品の蛋白質は、そのカロリーが全カロリーの1/3位になり、しかも質が良い(学術的には「アミノ酸スコアが高い」)とされています。
    ですから、大豆製品を多めに摂れば、蛋白質を必要量摂って、筋肉量を減らさないことは十分可能だと思います。

    現在の食事で蛋白質が足りているかどうかは、体脂肪率を教えていただければ、筋肉量が推定できるので、もう少し確かなことがお話しできると思います。

    > 骨密度とかは大丈夫

    菜食主義者は骨密度が少ないという調査もあるようです。ただ、骨密度はカルシウム摂取量だけでなく、吸収率を高めるビタミンDや運動量の影響も受けますので、現在の適度な運動量とサプリメントの摂取は、骨密度を保つために有利に働くと思います。
    あと、乳製品でFood intoleranceとのことですが、単に乳糖不耐症によって生乳で下痢を起こすだけなら、ヨーグルトにすると大丈夫な場合もあります。

    > 痩せ型糖尿病の危険性はないのか

    身長と体重だけから肥満を判定して、基準値より少ないのに糖尿病が出るときに「痩せ型糖尿病」ということがあります。

    ところが、このような人たちは、体重の割に体脂肪率が高い、いわゆる「隠れ肥満」であり、体脂肪を減らすと糖尿病が治ることが多いです。(体脂肪率が男性10%以上、女性20%以上なら標準体重以下でも体脂肪を減らして糖尿病が治るチャンスはあります)

    また、体脂肪率がかなり高くても、糖尿病になりやすい体質がなければ、糖尿病が発病することはありません。炭水化物の摂取が多いというだけなら、あまり心配しなくてよいと思います。 

  4. 山本 より:

    40代女性、ビーガン(純菜食)です。「主義」ではなく、加齢とともに肉・魚に箸がすすまなくなり、数年前からは卵と乳製品を摂るとFood intoleranceの症状がでるようになったので、行きがかり上ビーガンになってしまいました。
      ここ1年余、葉野菜・根野菜・種子豆類・全粒穀物・果物中心の食事で、いまのところ体調はすこぶる良く、1日3食、満足するまで食べて、体重は安定しています。(身長157cm、体重45kg)。運動はとくにしていません。毎日欠かさず30-40分ほどを通勤で歩くくらいです。
      ただ、更年期を迎えるにあたり、今後もこの食生活で筋肉量や骨密度とかは大丈夫なのか、はたして蛋白質の必要最低限をきちんと満たしているのか、痩せ型糖尿病の危険性はないのか等々、気がかりです。(なにせ炭水化物満載の食生活なので。) ちなみに、食事に加えて、ビタミンB12を毎日、ビタミンDを週2-3回サプリメントで摂っています。
      注意事項などありましたら、アドバイスいただければ幸いです。

  5. […] でなく、筋肉量・除脂肪体重を減らさないことが大事だという人は、  このブログにある別の記事を読んでもらうとよいのですが、  筋肉量を増やしたい人には役立つ記事がありません […]

  6. […] 次回は、筋肉・骨が減る条件(蛋白質摂取量や無酸素運動など)と、 体重や体脂肪量の測定方法や誤差について述べます。 […]


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