フィードバックについての知識を使うと、ダイエットの挫折が避けられ、体重変化が予測できるので、体重のコントロールが容易になる

ダイエットや食事療法を行う一番の目的は、
自分の思い通りに体重をコントロールすることでしょう。
(それだけでなく、筋肉量・除脂肪体重を減らさないことが大事だという人は、
 このブログにある別の記事を読んでもらうとよいのですが、
 筋肉量を増やしたい人には役立つ記事がありませんので、
 ほかのサイトを当たってください)

コントロール、すなわち、制御がどうすればできるかについては、
古くから制御論という学問で調べられています。

今回の記事では、その中からフィードバックという考え方を紹介して、
ダイエットへの応用を考えます。
……

ある原因から結果が生じるとき、
生じた結果が原因に影響を及ぼすことがあります。
(本来は、原因が結果を生じさせるので、
 結果から原因の方に影響があるというのは、ふつうとは逆方向の働きです)

その結果から原因への影響には2つあって、
1つは、生じた結果が原因をますます高じさせていく方向の影響で、
もう1つは、結果が原因を抑えに掛かる方向の影響です。
(つまり、ポジティブおよびネガティブフィードバックのことです)

1つめの、結果が原因を高じさせる、いわば火に油を注ぐ影響
(ポジティブフィードバック)の例としては、景気の過熱があります。

株価や地価が上がるから、皆がこぞって買う、
皆が買うから、需要と供給の関係で価格がますます高騰していきます。

このしくみの中には、価格の高騰に歯止めを掛ける要因が含まれていないので、
数学の世界でなら、無限大まで「発散」してしまうところです。
しかし、現実では、倍々ゲームが永久に続くはずもなく、
最後は必ず、バブル崩壊や世界恐慌に行き着きます。

ただ、人間の経済活動はバブルが崩壊しても、「これで終わり」ではありませんから、
さらに長い期間観察していると、
景気は、このような拡張と収縮または破綻を繰り返していることが分かります。
(電気に詳しい人なら、この様子が発振現象に似ていることが分かるでしょう)

もう1つの、結果が原因を抑えに掛かる、火に水を掛ける影響
(ネガティブフィードバック)の例には、
電気ポットや冷蔵庫などの温度調節があります。

セットした温度になると、
湯を暖めるヒーターのスイッチが切れて、それ以上温度が上がらなくなったり、
冷却器のスイッチが切れて、セットした温度よりが下がらなくなったり
というしくみがそれです。
また、体内の多くのホルモンや、血糖値の調節などもこのしくみで行われています。

これらのしくみが、温度などを一定に保っているところに、
しくみの外から手を加えて、設定値を変えると、
温度は新しい設定値に向かって変化していき、そこで保たれるようになります。

……

以上で2種類のフィードバックについて簡単に説明したので、
ダイエット、すなわち、体重のコントロールの場面で、
これらがどのような形で現れるかを見ます。

1つめの、火に油を注ぐ、ポジティブフィードバックから、バブル崩壊に至り、
さらにそれを繰り返す様子は、
ダイエットでリバウンドを繰り返すことに相当します。

食事や運動で体重が減り始めると、その嬉しさが火に油を注ぎ、
次々といろいろなことに手を出して、体重が減り続けるが、
そのうち、食欲栄養不足の恐怖に負けて、
ダイエットを始める前よりも食べてしまうようになり、体重が元に戻ってしまう、
そして、ほとぼりがさめるとまた同じことを繰り返す…

これらを防ぐためには、
次々と手を出して熱狂に陥って、ポジティブフィードバックの輪に入り込まないこと、
食欲栄養不足について正しい知識を持っておくこと
が有効です。

2つめの、火に水を掛ける、ネガティブフィードバックは、
たまに暴飲暴食をして体重が少し増えたり、風邪で体重が減ったりしても、
結局元の体重に戻ってしまうことに相当します。

というのは、食べ過ぎて体重が増えても、
今度は、それによって消費カロリーが増えるので、
ふだん摂っているカロリーに応じた体重に戻っていくからです。

また、ダイエットで摂取カロリーを減らした時の体重変化は、
電気ポットの温度設定を変えた時の温度と、数学的に同じような変化をする
(底<1の指数関数:時間がたつほど体重や温度が減りにくくなる) ことが分かっています。 さらに、初めの体重、消費カロリー、摂取カロリーをどれだけ減らすかで、 その後の体重変化も具体的に予測できますが、
これも初めの温度や水の比熱などから温度変化が予測できるのと同じです。

以上で述べたように、
フィードバックによる制御の知識をダイエットに応用すると、

  リバウンドの原因になる熱狂を避ける
  挫折の原因になる食欲栄養不足についての知識を予め十分に持つ
  カロリーの減少量と開始後の日数による体重の変化を予め知っておく

ことで体重のコントロールが容易になることが分かります。

ダイエットは、やみくもに行うのでなく、
先人が見つけた知識で見通しを付けてから取り掛かるべきなのです。

コメント / トラックバック6件

  1. taijuuh より:

    Tanto さん

    > たんぱく質量…足りていない

    そうでしたか。

    それなら、今まで体重が減ったのは、
    蛋白質不足で起こった除脂肪体重≒筋肉量の減少によるところが大きかったことになります。

    それを是正して、必要量の蛋白質を取り始めると、
    減っていた筋肉量が8月に食事療法を始める前の量に戻っていきます。

    このこと自体は望ましいことなのですが、
    筋肉が今より増える(元に戻っていく)ことで、体重の減り方が予定よりゆっくりになるので、
    やる気をなくさないようにしてください。

    その場合も、体脂肪量=体重×体脂肪率は減っていきますから、
    体重と一緒に体脂肪率も計って計算するようにしてください。

    経過中に、また疑問が出れば、この欄で質問してください。

  2. Tanto より:

    早速にご返信を頂きまして、ありがとうございます。

    リンク先の記事でたんぱく質量を確かめてみました。
    足りていないように思います。

    必要量を取り、その代わりに炭水化物を減らして、様子を見てみます。

    ありがとうございました。

  3. taijuuh より:

    Tanto さん

    > 体脂肪率が体重の減少の割には下がらず

    というときに多い原因は、蛋白質の不足です。ですから、まず、

    http://wp.w8eq.com/?p=47

    で、1日に必要な蛋白質の量が摂れているか確かめてください。

    もし、摂れていなければ、軽食型の昼食と定食型の夕食のうちで、
    必要な蛋白質を摂るようにしてください。ただし、総カロリーを変えないために、
    増やす蛋白質の代わりに、同じ量の糖質(炭水化物)を減らすことには、注意してください。

    あと、女性の場合は、月経周期により体脂肪率の誤差が出ることがある
    (「メタボ氏のための体重方程式」p.187)
    ので、今まで計った体重、体脂肪率のグラフに、毎日の月経周期を書き込んでみてください。何かわかることがあるかもしれません。

  4. Tanto より:

    体脂肪率についてご質問させて頂きます。
    健康診断で脂肪肝、そして、血糖値が高くなっていることがわかりました。
    医師からは食事療法で体重を落とし、様子をみましょうということで、投薬治療は現在行っていません。
    8月14日より食事療法を始めました。
    8月14日当時の体重は61.3キロ 体脂肪率34.4%です。
    現在10月20日は体重57.5キロ 体脂肪率35.2%です。
    体重は落ちたのですが、体脂肪率が下がらず、日によって34~35%の間を行ったり来たりしています。
    体重方程式のことは、はじめこのHPで知りました。
    本を先週から読み、実行しはじめました。
    今までの摂取カロリーから410キロカロリー減少させるということで、
    朝食を飲み物だけとし、昼は軽食型、夜は定食型で食事を取っています。
    体脂肪率が体重の減少の割には下がらず、何か食べ方に問題があるのでしょうか。
    恐縮ではありますが、アドヴァイスを頂ければと思い、書き込みをさせて頂きました。
    どうぞよろしくお願いいたします。

  5. taijuuh より:

    N-61 さん

    経過を知らせていただき、ありがとうございます。

    1食600kcal×3、体重が110kgなら、日常生活と運動で使うカロリーを考えると、
    体重1kg当たりの基礎代謝が12kcal/kgくらいで、通常の半分くらいになる計算です。

    甲状腺機能低下症ならあり得ない数値ではありませんので、念のため甲状腺ホルモンを測定されておくことをお勧めします。

    もう一つ考えられることとして、栄養士の見積もりが甘くなっていた可能性があります。
    特に、聞き取りだけのときは、魚や大豆製品、乳製品・牛乳(ビールよりカロリーが高い)などは低く見積もられる場合があるので、
    今食べているもの、飲んでいるものをそのまま7日間、(できれば重量も)書き記して再度カロリーの推定をしてもらうとよいと思います。(無理なら写真でも可ですが、その場合も食べたり飲んだりするもの全部の写真を撮ります)

    そして、そこまでしても、やっぱり体重が減らない原因が不明という場合があり、そういうときは、蛋白質の必要量を満たしたうえで除脂肪体重が減らない限度(600kcal)までカロリーを絞ってもらうように言います。しかし、それで体重が反応したことはなく、人知(少なくとも私という人間の知力)を超えていると言っています。

    上記を参考にして、再度経過を教えていただければ嬉しいです。

  6. N-61 より:

    2年ほど前に、一度だけコメントし、ご返事をもらったものです。
    http://wp.w8eq.com/?p=1309&cpage=1#comment-343
    覚えていただいてますでしょうか。

    遅ればせながら、経過を報告させていただきます。
    2011年5月から、2013年9月までの経過です。

    体重 約146 → 113~4
    体脂肪率 40% → 35%
    HbA1c 9.xx → 5.xx ~6.1程度
    インシュリン注射(20単位近くあった)は廃止、
    現在は血糖降下剤を1T/dayのみ(!)
    ウェストは20cm近く縮みました。
    食事は開始前から較べれば半分程度。
    炭水化物であるご飯、麺類は日に1回のみになっています。
    栄養士に一度食事内容を見てもらったところ、
    おそらく1食が600kcalくらいなのでは?とのこと。

    DMがよくなったことは主治医も驚いています。
    しかし・・・この体重、110kgの壁にぶち当たって1年半近くになります。
    おそらく、体重が減ったことで基礎代謝が低下してしまい、筋力も落ち、
    均衡がとれてしまったのが原因だと判断、2ヶ月前から
    筋力アップ、基礎代謝アップを目的にウォーキングを始めました。
    週3回、各5kmを目標に、雨天の日は休みなのでユルイのですが。

    どうすればいいんでしょうかねぇ・・・こういう場合。
    主治医に相談すると、
    「まぁ、ここまで来たんだから無理に落とすことにこだわらんでも・・・」
    ということなのですが・・・・

    血糖コントロールがよくなると体重は減りにくくなるというのを
    昔聞いたことがあるので、そのせいでしょうか。


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