「糖尿病は治らない。」
そのあとに、
「一時的に良くなっても、気を抜くと再発するから、一生コントロールし続けないといけない・・・」
と続くのですが、これは糖尿病の専門家だけでなく、専門でない医師にとっても常識です。なぜかというと、医学部でそう習うからです。
今でも医師に向かって「糖尿病は治る」とでも言おうものなら、
「ん、このひと医者?」と、うさん臭い目で見られます。
しかし、そろそろ機は熟していると思うので、
「糖尿病は治る」
(1型糖尿病の人は除いてです。ただし、このページの最後に書いた部分も確認してください)
と言ってみます。
根拠は、元々医学部で習う医学(糖尿病学)の常識に、近年の新しい発見や技術の進歩を3つ加えて示しましょう。
まず、今までの医学(糖尿病学)でも基本的な方針として、
0.糖尿病の治療は食事8割、運動1割、薬1割
ということをいいます。
食事療法が主で、運動や薬(インスリン注射薬も含めて)は従の役割です。
さらに、食事療法の基本はカロリー計算で、それを簡単にできるようにしたのが、「『食品交換表』を使った糖尿病の食事療法」です。
このブログのタイトル「体重はカロリーだ」も、食事のカロリーを重視する考え方に基づいています。
運動より食事の方が重要なのは明らかです。
現代の生活では、じっとしていても消費されるカロリー(基礎代謝)が、1日の消費カロリーの7~8割を占めていますから、日常の活動で使われるカロリーはもともと、2~3割しかありません。
かりに運動で、今までの2倍体を動かす(平均的には1日2時間の歩行を追加する)ようにしても、食事のカロリーを2割減らしたのと同じくらいしか体重は減りません。実行できる人は限られてくるでしょう。
これを見ても、糖尿病の基本的な治療方針は正しいというべきです。
従だった運動の役割がだんだん大きくなってきたのは、アメリカの影響でしょうか。また次の項で述べる理由で、期待していたほど食事療法に効果がなかったからかもしれません。
1.今までの設定カロリーを修正すると「治る」が見えてくる
せっかくの食事療法も、何kcalとるかという計算式が誤っていて、
糖尿病が「治る」カロリーより多いときには、改善はしても治る人は少なくなってしまいます。前回の記事中、
4.カロリー計算をしても、基になる目標体重や消費カロリーが間違っている
で述べたように、
「摂るカロリー」でなく、今の食事から「減らすカロリー」を考えると、
誤差がなくなり、治る人が増えます。
2.糖質(炭水化物)にこだわらなければ「治る」が見えてくる
人間の体は蛋白質を原料にしてブドウ糖が作れる、
ということは、医学部の生化学(医化学)の授業で「糖新生」として習います。
しかし、それを習うのが医学部に入って早い時期であること、
糖尿病にとってどういう意味があるかについては習わないこと、
さらに、「糖」の字からの連想で、糖質(炭水化物)にしか注意が向かないこと、
によって、蛋白質の摂りすぎが糖尿病を悪化させることを言う医師は、専門家を含めてほとんどいません。
この「蛋白質は糖分になる」ことを食事療法に取り入れると、
カロリーを減らした食事が容易に実現できるようになることは
このブログで述べてきました。
3.集合の考え方で、「治る」が見えてくる
私が属する世代は、それまで高校の数学で「論理」として習っていたことを、中学で「集合」として習うようになり、
「かつ(AND)」や「または(OR)」の条件を(ベン図で)視覚的に理解しています。
そのおかげで、後にコンピュータのプログラムを書くときに苦労しませんでしたし(作成例)、
本(「メタボ氏のための体重方程式」p18~19)を書いたときにも、
①にいる糖尿病の患者さんが、②に移動すれば、治っている、
すなわち、糖尿病になりやすい素因は変えられないが、生活習慣の問題を取り除けば糖尿病は治る、
という概念を明確に示すことができました。
「解釈を変えただけ」とか、「物も言いよう」だとか、「詭弁を弄する」といった非難があるかもしれません。
しかし、新しい概念(地動説や万有引力)を示すことによって初めて、糖尿病の患者さんが治る(月への到達)という現実の効果を享受できることもあるのです。
結論:
1型糖尿病のように、絶対的にインスリン分泌が足りないごく一部の糖尿病を除いて、ほとんどの糖尿病は食事療法だけで治ります。
(あと、1型糖尿病といわれている人の中には、高血糖で一時的にインスリンが分泌されにくくなっている時期に検査を受けて、そう診断された人がいます。インスリン等で血糖値が下がった時点で再検査してインスリン分泌能が改善していれば食事療法で治ります)
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