摂取カロリー量は、生活習慣病を治す効果が最大になるよう、十分に減らさなければならない。十分に減らしても、正しい知識があれば、実行時のつらさや弊害を減らすことができる

前回の記事で、生活習慣病を治すためには、
カロリーを減らす方向に生活習慣を変えなければいけないのに、
今まで良しとされて、勧められてきた習慣は、
むしろカロリーを増やす原因であったことを述べました。

今回は、カロリーを減らすときに、減らす量をどのようにして決めるかを検討します。

効果の大きさには3段階ある

まず、生活習慣病を治すだけでなく、どのような手段にでも当てはまる量の決め方として、
次の3段階のものを考えます。

1.効果が出始める最小量

2.これ以上は効果が出ない最大量

3.1.と2.の中間の量

1.は、30分以上歩かないと脂肪が燃えない、
のように、これ以下では効果が期待できないとされる量を決める方法です。

この量の決め方は、量的な検討以前に、そもそもその方法(例えば歩行)に
少しでも効果があるかどうかを調べるときに使われます。

効果が期待できないほうの例としては、
前回の記事で述べた、今まで勧められてきた習慣がそれに当たります。
それどころか、むしろ体重を増やすマイナスの効果をもたらすので、
ダイエットを実行する前に前回記事をぜひ読んでほしいと思います。

2.の例は、このブログの関連サイト「体重方程式」で使っている、体脂肪率の下限値(男性10%、女性20%)がそれに当たります。
この値は、統計の結果から導かれた値で、体脂肪を減らす方法では、これ以下に減らしても病気が治ることは期待できません。逆の言い方では、体脂肪率が下がってこの値に達するまでは、生活習慣病が治るチャンスがあるという値です。(もちろん、体脂肪を減らす以外に、塩分を減らすなどの方法で病気が治るチャンスはあります)

そのほかの例では、薬の用量をこれ以上増やしても効果が増えない量、
すなわち、最大投与量を決めるのがこれに当たります。

3.の方法で決められた量には、
「男性85cm、女性90cm以下」で有名な腹囲の基準があります。
この量の決め方を大まかにいうと、
この値まで減らすと生活習慣病が治る人が1人でもいる値と、
これ以下に減らしても生活習慣病が治る人が1人もいない値の中間の値を取った
ということになります。

これら3つの量の決め方のうち、1.や3.では、その量を越えて行うと、
たとえば、毎日3時間歩いたり、腹囲を70cmまで減らしたりすれば
生活習慣病が治ったのに、その量に決められていたために病気が治らない患者さんが多く出現します。

一方、最大の効果を期待する2.の決め方では、
体脂肪率を20%にするより、10%にするために減らすカロリーのほうが多いので、実行するためのつらさが増えるし、栄養不足による弊害が起きる頻度も多くなります。

また、当然ですが、腹囲と体脂肪率のように、量を決めようとしている別の方法のつらさや弊害の頻度を比べる時には、効果の最大量なら最大量、中間値なら中間値どうしという同じ条件で比べなくてはなりません。

量の決め方で合意してから、実例を積み上げるのがよいのだが…

以上で述べた量の決め方についての問題が、今まで検討されずに来たのは、

・ 検討すること自体が面倒、
・ それは、(検討した研究者でない)ほかの研究者の同意を得るのも面倒なことを意味する、
・ 検討して、最大効果を狙うことにしても、実行できる人が少ないし弊害が心配、
・ 食事療法自体への関心が薄い、

といったところが原因だと思います。

実は、最大効果を期待するカロリーの減少量と、
実行時のつらさや弊害を減らす(なくす)方法()は、
すでに検討して、このブログと関連サイトで述べています。

また、面倒な内容について、ほかの研究者を説得するためにもっとも有効なのは、
実際に患者さんが治っていった記録を積み重ねることですが、
これには手間と時間が掛かるのがつらいところです。

コメント / トラックバック5件

  1. […] お腹が空くこと、 暴飲暴食や間食ができないこと カロリー計算で手間が掛かること 体重測定や検査で、思ったほど体重が減らず、検査値が改善していないこと […]

  2. taijuuh より:

    tym さん

    お食事だけでは蛋白質の必要量には足りず(特に昨日分)、
    煮干しの量によっては足りているかも、といった状態だと思います。
    できれば一度、「表3の食品の必要量」 で、蛋白質の摂取量を計算してもらったほうがいいと思います。
    そうすれば、カロリーを抑えたうえで蛋白質を必要量摂るために、
    炭水化物は控えめで、蛋白質を多く含む食品は多めの食事が必要なことがお分かりいただけると思います。

    ただ、お話からは、体脂肪計の誤差もうかがわれるので、
    現在の食事のままで、
    > 1ヵ月後も34パーセントから減らない状況だった場合、もう一度ご連絡
    ということでもよろしいでしょう。

  3. tym より:

    お返事ありがとうございます。
    私が始めに先生にお伝えした数値は以前に実家で計測したもので(それ以降自己流ダイエットをした時期には体脂肪を測定していませんでした。)いまは自宅に体脂肪率が量れる体重計を購入して計測しているので、誤差が出ているのかもしれないですね。
    昨日友人宅に体脂肪率付きの体重計があったので測定させてもらったら、31パーセント程度でした。
    1ヵ月後も34パーセントから減らない状況だった場合、もう一度ご連絡させて頂いてよろしいでしょうか。

    食事は昨日はインドカレー、ナン、ミルクティ、にぼし(にぼしが好きでポリポリ食べています^^;)カフェラテ、チョコトリュフ1つ
    今日はハムとチーズを挟んだクロワッサン、カフェモカ、おかゆ(卵、鴨肉、ねぎ、玉ねぎ入り)、味噌汁(わかめ、ねぎ)、にぼし
    以上です。

  4. taijuuh より:

    tym さん。こんばんは。

    体脂肪率が減っていない原因は、次の2つが多いです。
    1.体脂肪計の誤差。
      特に女性は、生理周期の前半と後半で体水分の量が異なるので、
      2~3%の誤差が出る場合があります。
    2.蛋白質不足の可能性。念のため、蛋白質はここまで減らせる
      表3の食品の必要量 のページで確認してみてください。
      食べた量を数日分記録して送ってもらっても結構です。

  5. tym より:

    お久しぶりです。以前にコメントんして、アドバイスを頂いたtymです。
    途中フラフラした時もありましたが、順調に体重は落ち、今日の計測では64.3キロでした。
    先生にアドバイス頂いた体重と1キロ程度の差で体重が減少しています。

    しかし今回またコメントさせて頂いたのは、体脂肪がほぼ落ちていないからです。
    現在体脂肪は34.3パーセントで、計算上では、今の体重なら32パーセントを切っていないといけないはずなのに、体脂肪がこのような状態です。
    タンパク質より、炭水化物過多になる日もありますが、ある程度バランスの取れた食事はしているつもりです。
    どの様な改善をすべきか、アドバイス頂けますでしょうか。
    宜しくお願いいたします。


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