食事療法の費用対効果は、細分化された費用と効果の連鎖として調べると、実行に値するかどうかが分かる

費用をかけたからと言って、それに比例して効果が出るわけではありません。
このことは、効果逓減(または、収穫逓減)の法則としてよく知られています。
例としては、

  肥料の投入を増やしていくと、初めのうちは作物の収穫量が増えていくが、
  そのうち、肥料を増やしても、それほど収穫は増えなくなり、
  いずれ、肥料をどれだけ増やしても収穫は一定以上増えなくなる、

といったことが挙げられます。
一方、

  費用対効果(いわゆるコスパ)=増えた効果 / 増やした費用

の比を見ていくと、それが平均的で一定である、いうならば、「効果一定」の時期もあるでしょう。

また、費用対効果の比が平均を上回る時期は「効果逓増」と呼ぶことができます。
高度成長期では、開発済みの生産手法や豊富な需要などに支えられ、
製品を作りさえすれば、どんどん利益が上がっていったわけですが、
このような状況が効果逓増でしょう。

あと、世の中に現れては消えていくほとんどのダイエットは、
どれだけ費用をつぎ込んでも、ほとんど効果はありませんが、これは「効果皆無」です。

以上をまとめると、効果 / 費用 が小さい物から、

  効果皆無、 逓減、 一定、 逓増、

ということになります

さて、食事療法・ダイエットの費用と効果は、因果の連鎖のように、
費用と効果の連鎖として、分割して考えることもできます。

因果の連鎖とは、

  ある原「因」から生じた結「果」が次の結果の原因となり、
  その結果がまた次の結果を引き起こす

といった現象を表すための言葉です。
そして、原因または手段に要する労力の大きさを「費用」、
また、をれによって得られる結果または目的の大きさを「効果」と量的にとらえることができます。

したがって、食事療法の費用と効果の連鎖とは、

  1.あることを行うつらさ・面倒さ(これが費用) と 摂取カロリー
  2.摂取カロリー(今度はこれが費用) と 体重
  3.体重 と 病気の治癒

の連鎖で、全体として、

  「つらさ・面倒さ」という費用と、「病気の治癒」という効果の比

を調べようとするものです。

結論だけ言うと、

  1.つらさ面倒さと摂取カロリーの関係は、効果逓増(食事を選べばつらくない)

  2.摂取カロリーと体重は、効果一定(摂取カロリーと体重は比例)

  3.体重と病気の治癒は、効果一定~逓減(標準体重以下に減らすと治る)

になり、全体を連鎖させると、あまりつらくなくて、病気は治癒することになります。

それぞれの費用効果の関係は、リンク先をクリックすると説明があるので、
納得したうえで、少ない費用=つらくない方法で高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病を治してもらいたいと思います。

コメント / トラックバック7件

  1. ベリー より:

    丁寧な回答ありがとうございます。
    皮下脂肪が減って筋肉が見えてきたのだと納得しました。体組成計で筋肉量は大きく増えてはいませんでした。
    これからも食事に気をつけながら、軽い気持ちで運動を続けていこうと思います。

  2. taijuuh より:

    ベリー さん

    コメントありがとうございます。

    女性は、ウェイトトレーニング(無酸素運動)をがんばって行っても、
    体組織計などで出てくる筋肉量にはあまり変化が出てこない人も多いようです。

    ですから、おっしゃるように、シルエットが変わり筋肉が増えたように見えても、
    同時に行っているダイエット(食事のカロリー減少)で皮下脂肪が減って、
    その下に隠れていた筋肉が見えてきたからかもしれません。

    もちろん、体質もあるし、女性ボディービルダーもいるわけですから、
    女性の筋肉量は絶対増えないと言っているわけではありません。

    ただ、生活習慣病の人(特にこのブログを読んで欲しい人たちです)が、
    運動の効果をそれほど感じられないのなら、
    こだわらずに、食事のカロリーを減らすことに力を入れて欲しいと思っています。

    その方が、体脂肪が確実に減って、病気が改善・治癒する可能性が高くなるからです。

  3. ベリー より:

    筋肉についての質問です。

    筋肉はかなり激しい運動をしないとつかない(特に女性)とありますが、軽い運動でもシルエットが変わったのですが、気のせいでしょうか?
    軽い運動の内容は、ピラティスやヨガ その他腹筋、背筋をしていました。

    筋肉はつかなくても、運動することで引き締まることはありますか?
    ただ痩せただけでしょうか?

  4. taijuuh より:

    みさと さん

    喜んでいただけたようで、嬉しいです。
    私が書いた「メタボ氏のための方程式」も読んでもらえるとのことですが、
    読んでいて質問があれば、この欄に書き込んでください。お答えします。

    もし、感想を書いてもらえるなら、このページに書き込んでいただけるとありがたいです。
    よろしくお願いします。

  5. みさと より:

    今朝、突然厚かましいお願いをしました、みさとです。

    突然のお願いでしたのに、丁寧なご返答ありがとうございます。もやもやしていたものが霧のように晴れた気分です。「2」については「運動をすれば多少食べても大丈夫」という刷り込みが頭の中に定着しておりました。確かに運動が忙しいと言う理由で出来ないのに、食べる量は「今日は運動していないから」と減らすことは無く、それによって食べていたことは事実です。なるほど、と唸りながら拝読いたしました。

    本が届いたらじっくり読ませていただきます。これから読む本の著者にご返答をいただけるなんて感激です。今度こそダイエット成功できそうです。ありがとうございました。

  6. taijuuh より:

    みさと さん
    コメントありがとうございます。

    >1 運動をしないで痩せて筋肉は減少しないのでしょうか?

    減少しません。
    摂取カロリーが適正で、元々痩せている人たちは、特に運動しなくても「ふつうに」筋肉がついています。
    摂取カロリーを減らして、運動をせずに、体重を減らしたときには、この状態に向かって変化していくだけです。

    運動しないと筋肉が減ると思われるようになったのは、
    筋肉の量を反映するといわれる除脂肪体重(=体重-体脂肪量)の定義が不適切だったことが原因の1つです。
    詳しくは、このサイト内の記事を見ていただくとして、
    除脂肪体重より正確に筋肉の量を反映する

      除脂肪組織体重=(1-体脂肪率÷0.8)×体重

    を記録していくと、運動をしなくても筋肉が減らないことを実感してもらえると思います。

    > 2 運動がこちら様のダイエット法の阻害因子になる場合、その理由

    お腹が空くからです。
    いるんです。「運動するからそのエネルギーを予め食事からとっておかなくちゃ」、という人が。
    「運動しているから、これくらい食べても大丈夫」という人もいます。
    「これくらい食べた」カロリーは、たいてい運動で消費するカロリーを大きく超えています。
    運動は何かの拍子にできなくこともあるので、当てにせず、食事のカロリーを確実に減らすほうが大切です。

    3 筋肉作りをしなければ体脂肪も減らず結果弛み、太りやすい体になるだけなのでしょうか……。

    大丈夫です。
    理由は今まで述べたとおりです。

    あと、「筋肉を増やして基礎代謝を高め太らない体に」とかいうのは、事実と異なります。(説明した記事
    筋肉を増やすためにはかなり激しい無酸素運動が必要で、
    しかも、女性は(男性ホルモンが少ないので)なかなか筋肉が増えるところまで行きません。
    ただし、日常生活をふつうに行っていれば、(もともと痩せている人のように)
    日常生活に必要な筋肉量より減ることはないので、心配いりません。

    高度の肥満だった場合、やせると一時的に皮膚が余って緩んでくることがありますが、
    徐々に戻ってくる場合が多いので、これも心配は無用です。

  7. みさと より:

    はじめまして、2ヶ月前にダイエットを始めたみさとと申します。体脂肪率が減りにくく悩んで検索したところ、こちら様のブログに行き当たり、いくつかの記事を読ませていただきました。
    今まで、自分の常識だったダイエットの知識がとんでもない勘違いだったことがわかり、目からうろこでした。これほど詳しく書いている記事を読んだことが無く、また昨今のインターネットでは情報が溢れていてその内容も確かなものかどうかもわからない状態で、ここまで納得、理解できるこちらさまの記事はとても貴重なものだと思いました。

    本も是非読んでみたく、先程楽天ブックスに注文いたしました。本当であれば、時間をかけてこちらさまのブログにすべて目を通し、著書も読んだ上で理解するべきことでしょうが、恥ずかしながら、自分の頭の中でまだ正しい情報と、今までの常識だと思っていたことが入り混じり困惑している次第です。

    そこで、厚かましいお願いではありますが、疑問がぐるぐると頭の中を駆け巡りどうにも落ち着かなく、アドバイスいただきたくてコメントさせていただきました。(長文になり、申し訳ありません)

    わたくしは、肥満と診断され、ダイエットに励んでいます。年齢は30代後半で、体重のわりにはウエストサイズも多く、数年前のダイエットでカロリー計算を減らしたものの、下腹部の皮膚がつまめるような弛みの現象が現れ、結果体重は減ったものの、弛み、という新たな悩みが出現しました。(肝機能、コレステロール値は正常値にまで改善しましたが)

    その後、恥ずかしながら、見事にリバウンドしてしまいまして、現在に至ります。そこで2ヶ月ほど前から再びダイエットを始めていますが、友人から

    「減らすだけではなく、綺麗に痩せたいなら、運動は欠かせない」

    とアドバイスをされ、運動をしなければ筋肉もやせていき、結果少しの脂肪と筋肉が減り、残るのは伸びた皮膚(弛み)と言われました。その話を聞く限りとても恐ろしくなり、せっせと運動をしています。

    そこで質問をさせていただきたいのですが。

    1 運動をしなくてもカロリー制限で痩せる。と言うことはなんとなく理解できました。が、その運動をしないで痩せて筋肉は減少しないのでしょうか?

    2 運動を継続したとして、その運動がこちら様のダイエット法の阻害因子になる場合、その理由を教えていただきたいです。

    3 友人の言うとおり、筋肉作りをしなければ体脂肪も減らず結果弛み、太りやすい体になるだけなのでしょうか……。

    厚かましいお願いで申し訳ありませんが、ご返答をいただけたら幸いです。

    運動により、部分痩せが出来るとは思っていませんが、出来るだけ弛みたくないのです。長文乱文お許しください、最後まで読んでくださって、ありがとうございました。よろしくお願い致します。


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