前回は、
蛋白質のカロリーを無視した「糖質制限食」は原理的に誤りであり、
1.カロリーを減らし足りない(摂るカロリーの過多)
2.実行が困難なことで拒否・挫折して、実行しない
ことが原因で結果が出ない例が多いことを述べました。
しかし、原理的には正しい従来のカロリー制限食も、
同じこの2つの原因で成果を挙げることができずにいます。
それどころか、苦労した割には望む結果が得られない度合では、
「糖質制限食」に劣っていることを認めざるを得ません。
今回は、このふがいないカロリー制限食が「糖質制限食」に勝る成果を出すために、
実行方法をどう改めればよいかを書きます。
まず、前回の記事で、「糖質制限食」と従来のカロリー制限を原理にした生活指導の問題点をまとめた表を再掲します。
問題点の分類 →影響 |
糖質制限食の問題点、利点 |
従来のカロリー制限に よる生活指導の問題点 |
このブログで述べてき た解決法(下記参照) |
無効:カロリー過多 →治る機会を奪う |
蛋白質の摂取量を制限しない | 隠れ肥満 消費E/体重が低い人 |
1.「減らすカロリー」を体脂肪率から求める |
実行困難 →拒否、挫折 |
糖質が好きな人 糖質を含む食品を覚えるだけ |
蛋白質が好きな人 野菜、栄養バランス 3食均等、禁暴飲食 運動 カロリー計算 |
2.蛋白質を推奨量以上摂取すれば、その他の制限は不要
|
この表の、左から3列目(薄黄色で表示)[従来のカロリー制限による生活指導の問題点]に対応して、
一番右の列に[このブログで述べてきた解決法]が記してあります。
このうち、[隠れ肥満、消費E/体重が低い人]の問題は、
[1.「減らすカロリー」を…(一番右の列)]で、
摂るべき(減らすべき)カロリーを設定する式に存在する欠陥を直せば、
1人1人の患者さんの設定カロリーをパソコンで計算するのは一度だけです。
また、[蛋白質が好きな人…運動]の問題も、
[2.蛋白質を… その他の制限は不要(一番右の列)]などで、
一度患者さんが容易で有効な手段があることを納得すれば、
それを実行するのはつらくありません。
実行が困難だと、目的を達成した後でも体重が維持できなくて生活習慣病が再発します。
ですから、この容易さが「糖質制限食」より成果を出すのに有利な点になっています。
ところが、いわゆる[カロリー計算]が実行困難だという問題では、
[糖質を含む食品を覚えるだけ(左から2列目最下段)]で
摂るカロリーがかなり減ってしまう「糖質制限食」
(これが有効なのは、制限した糖質のカロリーが減るからに過ぎないのですが…)
との比較で、大きく不利なところになっています。
確かに、毎日、食事を作るときに、すべての食品の重量を計ってカロリーを計算したり、
外食のときも必ずカロリーを推定したりすることは、難しくて面倒ですから、
初めから拒否したり挫折したりする人はどうしても多くなります。
これを克服しなければ、いくら原理的に正しくても、
多くの患者さんの生活習慣病を治す役には立ちません。
そのため、このブログでは、
[3.簡便なカロリー減少・推定法(一番右の列)]のリンク先で、
食品のカロリーを大まかに推定する方法だけでなく、
食事のカロリーをその量から見当を付ける方法も述べることにより、
毎日、毎食のカロリー数は意識せずとも設定したカロリーまで減らせるようにしています。
この方法は、さらに、[2.蛋白質を… その他の制限は不要]を元に作った
カロリーを減らしやすい食事を絞り込む方法と併用すれば、摂りすぎや不足がなく、
より正確に設定したカロリーを摂ることができるようになります。
それは、それまで摂っていた食事から設定したカロリーまで減らす時に、
3食を少しずつ減らすより、絞り込んだ1食(または2食)から大きく減らすほうが、
全体の誤差が少なくなるからです。
(3食から200kcalずつ減らすのと、1食から600kcal減らすのと
どちらの誤差が少ないか考えてみてください)
(また、減らしにくい食事からだと、
少し減らすだけでもかなり困難で、挫折の原因になりますが、
減らしやすい食事からなら、多く減らしても意外に続けられるものです)
以上述べた方法を使って、必要なカロリーまで食事を減らせば、
「糖質制限食」などより格段に容易に体重を減らして、
糖尿病などの生活習慣病が治すことができます。
あと、これを広めるためには、あまりやさしくないという評価の書籍だけでなく、
このブログ自体をもう少し整理、校正して分かりやすくする必要があります。
(分かってはいるのですが、時間と力が足りません)
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[…] その理由は、次回の記事で述べることにします。 (この記事で今までに述べた内容が、すでに一度に学習できる脳の容量を越えていて、 「蛋白質が肥満の原因」という主題が記憶に […]