従来型のカロリー計算は、面倒で挫折の原因になるので行ってはならない(減らしやすい食事から一括して大きく大まかに減らすのが良い)

カロリー計算の手間が掛かりすぎるので、食事療法の導入・維持ができない

前回、正当なカロリー制限を原理にした食事療法が、
「糖質制限食」というとんでもダイエットに実績でかなわないのは、
カロリー計算の手間が掛かりすぎることが大きな原因だと述べました。

それを解決する方法はこのブログで何度か述べていますが、
「こんな大まか(大雑把)なやり方でいいの?」
という不安で、実行に取り掛かれない人が多いようです。

その結果、従来型のカロリー計算を始めてはみたものの、
外食のカロリーが推定できない、体重が予想通り減らない、など、
些細なつまずきで挫折する人が多くいます。

今回は、従来型の精密なカロリー計算はしなくてもよい、
むしろ、面倒で挫折の原因なるから、してはいけないことを論じます。

カロリー計算は推定に過ぎない

カロリー計算は、どこまで厳密に実行しても、結局のところは推定にすぎません。
食品成分表などを見て、この食品のカロリーは100g当たり150kcal、
また、1gの単位まで精密に計れる電子はかりで200g計って食べたから
300kcalというのは、一見厳密に計算しているようですが、
やはり推定に過ぎず、真の値とは食い違っているのがふつうです。

というのは、
例えば魚介類は、同じ食品でも季節や産地によって油の乗り方が違っており、
当然カロリーも異なってくるからです。
食品成分表を作っている人たちは、そのことを知っているので、
季節や産地を変えて測定し平均値を載せるようにしています。
しかし、結局は平均値なので、今食べようとしている食品そのもののカロリーとは、
どうしても誤差が出てきます。

また、何人か分の材料の重さをすべて計って料理をしても、
それを盛り付けるときには、ほとんどの場合目分量ですから、
ここでも、誤差が出てきます。

カロリー計算をしなくてもカロリーは一定

このように、厳密にカロリー計算を行っても、いろいろなところで誤差が出る一方、
まったくカロリー計算をしない人も、一定期間の平均を取ると取っているカロリーはほとんど変わらないものです。

それは、(いろいろ気を付けている人も)体重の変化がほとんどないことで分かります。

体重減少 = 摂取カロリー - 消費カロリー
(この式はエネルギー保存の法則を表していて、常に正しい)

のところで、
(生活のリズム・活動性が変わらない限り消費カロリーも変わらないので)
体重が変わらないということは、摂取カロリーにも変化がないということになるからです。

かりに、1年ぶりの健康診断で体重が1kg減っていても、
(これくらいの変化しかない人が多数です)
1日当たりなら3g、これをカロリーに直すと20kcalとなり、
成人1日の摂取カロリー1500~2500kcalに対する比率は約1%にしかなりません。
まったくカロリー計算を行っていないにしては、よく一致しています。

これは、「面倒なカロリー計算をせずに体重を減らせる方法」で述べたように、

1.どんな物事でもある程度の回数を集めると平均されてだいたい同じになる
2.ふだん食べる大部分の食品のカロリーはあまり違わない
3.人間はふだんの食事でだいたい同じくらいの量を食べている

ことによるものです。
(1~3.が納得できなかった人は、リンク先を読んでください)

カロリーを減らす食事を限定して精度を上げる

このことを利用すれば、面倒で、食事療法を始める障害になっているカロリー計算を
もっと大まかで手軽な方法に変えても、確実に食事のカロリーを減らすことができます。

その要点の1つは、食品のカロリーを気にせず、食べる量だけに注目することです。
上に書いた
「1.どんな物事でもある程度の回数を集めると平均される」、
「2.食品のカロリーはあまり変わらない
を確かめるために、数日間に食べたものの平均カロリーを計算すると、
食品のカロリーが様々でも、100g当たり100~150kcalになることがほとんどです。

つまり、食べる量を減らしさえすれば、何を食べるか(カロリーの高い・低い)に注意しなくてもカロリーを減らすことができるということです。

また、これは、

油ものなどカロリーの高い食品を避けているのに体重が減らない原因

も表しています。カロリーが高くない(魚や大豆製品などカロリーがふつうの)ものを多く食べれば、カロリーオーバーになって太るのは当然のことです。

もう1つの要点は「3.ふだんの食事で一定の量を食べている」ことを活用することです。
これは、朝食と昼食の量が同じということでなく、
毎日の朝食なら朝食の量は一定、昼食は昼食で一定という意味です。

ですから、カロリー、すなわち、量を減らす食事以外は、今までと同じように食べていれば、カロリーは今までと同じになります。

ここで、

「ある食事を大きく減らすと、反動で、その次の食事が多くなるからよくない、
減らす時は、3食とも均等に減らすべき」

というツッコミが入るかもしれません。
しかし、これは、人間の食事の量が(朝食なら朝食、昼食なら昼食で)一定であることを知らないことから来た誤りです。
昼食を定食からおにぎり1つに減らしたときに、減らした分を夕食で増やす(ほとんど2食分を1食で食べることになる)のが無理なことはすぐ分かります。

「食事ごとの変動量が多くなると、少ない食事の後の次の食事の吸収率が上がる」

というツッコミにも根拠はありません。

人間の消化管の栄養吸収能力は優秀で、
どの食事で取ったカロリー・栄養もほぼ100%吸収されているからです。
先人の、「カロリーの吸収率はほぼ100%」という研究成果を無視して、
自分の思い込みで誤った主張をするのは良くないことです)

また、3度の食事はどれも同じように減らしにくいのではなく、
減らしやすさにはその人によって違いがあります。3食均等に少しずつ減らすよりも、
減らしやすい食事からまとめて減らしたほうが1日全体では楽になります。

このように、減らしやすい食事からまとめて減らすことを強調するのは、
カロリーの減らし方に精度を持たせるためにも有効だからです。
1日のカロリーを600kcal減らす時に、3食から200kcalずつ減らすよりも、
減らしやすい昼食の定食1000kcalをコンビニのサンドイッチ400kcalに変えたほうが、
減らし方が大きい分、誤差は小さくなります。

具体的に、(大まかではあるが、体重を減らすには十分な精度で)
どれくらいの量の食事がどれくらいのカロリーになるかは、
このサイトのページで見当をつけてください。また、必要な条件を入力すると

どれくらいカロリーを減らすべきか
どの食事が減らしやすいか
減らした後の体重の予想

も一括して分かるので、一度アクセスしてみてください。


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