目的の重大さと手段の容易さ(脳卒中・心筋梗塞の予防に、つらいことは必要ないこと)を訴えないと、生活習慣病を治す機会が失われる

4月に年度が替わって健康診断を受けた、という人もいると思います。
昨年から会社などの健康診断(特定健康診断、いわゆるメタボ健診)の問診で、
「生活習慣を改善するつもりはあるか?」 という項目が加わっています。
はい、と答えた人のほうがやる気があるだろう、と考えた厚生労働省が、
特定保健指導(メタボ保健指導)を受けてもらう人を選ぶために作った項目なのでしょう。

この質問に、いいえ(生活習慣を改善するつもりはない)、と答えている人でも、

改善した時の効果(単に体重が減るだけでなく、血圧が下がる、薬を止めても血圧が正常化するなど)を明らかにすると興味を示してくれることがあります。

これから分かるのは、主治医に体重を減らすようにと言われていても、それが何のために必要なのか(体重を減らすと血圧が下がるという因果関係)は患者さんに伝わっていない、ということです。
何のために、何を目指して、という具体的な目的がないのに、ただ「生活習慣改善の指導」というだけでは、受けたいという人がかなり絞り込まれてしまいます。

この関門をくぐり抜けて、それなら生活習慣を変えてみてもよい、と思った人からも、「でも酒は止めないといけないんでしょう?」とか、「まず運動ですよね?」という質問が、それぞれ、アルコールを多めに飲む人、体重が重い人から出ます。

このブログで述べてきたとおりに
「効果が同じなら、つらいことをしないほうが、途中で挫折しなくていいです。
たとえば、・・・」
と伝えると、さらに乗り気になってくれる人もいます。

以上2つのこと、すなわち、目的の重要さと手段の容易さを示した上で、生活習慣改善の意志を尋ねる文章にするべきだと思って、

「ふだんの生活を少し変えるだけで、脳卒中や心筋梗塞になる危険が減る方法があれば、聞いて見たいと思いますか?」

と書いてみると、何かの広告みたいになってしまいました。こんどは、広告臭に拒絶感を持った人が、生活習慣病を治す機会を失うのかもしれません。

なにより、せっかく受けてもらっても、その人の会社の特定保健指導では、
「つらいことをしないほうが」でなく、
「つらいことをしないと病気は治りません」調で行われていることが多いでしょう。
結局、今の状況では生活習慣病が治る人は増えないことになるので・・・

このブログで、

  • つらいことをしない方が途中で挫折しないので、生活習慣病がよく治る

ことを訴えていくことにします。

コメント / トラックバック4件

  1. […] ですから、食事療法が実行に値することを患者さんに納得してもらうためには、 その患者さんの個性に合わせてカロリーを減らすようにして、 費用、すなわち、ストレスが少ないこと […]

  2. […] 効果がないことや守らなくても害のないこと (つまり必要のないこと […]

  3. […] 元の血圧に逆戻り、になるので、 実行するときに辛くないことが重 […]

  4. […] アルコールを多めに飲む人は「酒は止めないといけない […]


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