従来言われてきた方法を実行しても効果がない原因(科学というシステムの問題)が分かると、耳慣れないことを聞いても拒絶しなくなる

前回の、不審に思ったことを克服するには、「ゆっくり、謙虚に、繰り返し」が必要の中で、

「このブログには、ダイエットについて多くの人が正しいと信じてきたことと異なることが書いてあるが、それを受けるためには謙虚さが必要」という
ここに書いてあることがすべて真実だと言わんばかりの、
全く謙虚でないことを書きました。

私自身は真実だと信じていることばかりで、読んでくれている人を説得するに足る根拠も必要かつ十分に書いてきました。
それで、分かる人は分かるし、初めから分かろうとさえしない人もいる、
と考えていますし、その辺りを指摘した本が数年前ベストセラーにもなりました。

せっかく(ご縁があって)このブログを読んでくれている皆さんに、
今までの常識が誤っていたのかもしれない、と気付いてもらうために、
これ以上自分が正しいと主張するのはやめて、
なぜ、科学では正しいとされている研究の結果に基づいて、ほとんど、または全く効果がないような方法が提案されるか、について述べておきましょう。

1つ目は、相関関係を因果関係と捉える誤り、あるいは交絡因子、と呼ばれる落とし穴によるものです。

この落とし穴にはまると、たとえば、
「ウインタースポーツを盛んにするために全国の家賃または住宅費を上げよう」
ということになります。
なぜなら、統計でウインタースポーツに出かける回数が多い人ほど
家賃の高い住宅に住んでいる、または住宅にお金を掛けているという相関関係が明らかになったから、というわけです。

もちろんこれは、スポーツと家賃のどちらにも関係した
年間所得という因子(交絡因子と呼ばれます)が原因で、年収が高いほど、
高い家賃の住宅に住んでいるという結果になるし、
ウインタースポーツにも出かけるという結果にもなる、
というのが統計結果の意味です。

家賃が高いことが原因で、スポーツによく出かけることが結果、ではありません。
ですから、家賃を上げてもスポーツが盛んになるわけではありません。

単なる相関関係があるだけなのに、それを(原と結の)因果関係があるのだと誤り、議論している人は結構います。
「朝ごはんと成績の間には因果関係はない、共通の原因(交絡因子)があるだけ」
と思っているのは私だけではありません。
(朝ご飯を食べるだけで成績が上がるでしょうか? 朝ご飯を食べなくても、血糖値は正常なのに。そのしくみ

2つ目は、ある結果を起こす原因が多数あるとき、その原因の間に軽重を付けない、数量的に検討しないで議論することによるものです。

「アメリカ人の死亡率を最も押し上げている原因は本当にたばこでしょうか?
 食べ過ぎによる肥満のほうが影響力は大きくありませんか?」

先日始めて、たばこより肥満の影響のほうが大きい、という論文を見ました。
それが真実かどうか判明するのはもう少し先でしょうが、
一度たばこが悪い、ということになると、
そのほかの原因を顧みることが難しい状況になり、両者を数字で比べず、
たばこだけを攻め立てていた時期があったことは覚えておいていいでしょう。

科学論文は、ある因子(原因)が結果に少しでも影響を及ぼすならば、(その中から大きな発見が出ることがあるので)事実として発表してもよいことになっているのですが、
実際には、結果に大きな影響を及ぼすものは少ないのです。(食事を摂る時刻、回数、食品の種類など。また、ある食品の成分を効果が出るほど摂るためには1日何kgも必要、などというのもあります)

このようなことが積み重なり、
正しい科学研究の結果から、多数の方法が提案された挙げ句に、
言われていたことをやってみても実際にはほとんど効果がない、
(○○ダイエット、の類で続いているものがないのは、効果が無いからです)
という今の状況があります。

体重に影響を及ぼすことが明らかなのは、カロリーだけです。
もう1度改めて言わねばなりません(ブログタイトルを)、

体重はカロリーだ!

コメント / トラックバック12件

  1. […] 『ブレスローの7つの健康習慣(1973年)』というのが有名です。その中で、運動をしている人のほうが健康だ、という結果が報告されています。しかし、発表から40年近くたつ間に、このとおりに実行しても、健康にならない、という研究や、実行している人のほうがむしろ血圧が高い、という研究も出ています。[…]

  2. […] などを計算する数式まで細かく見てくれる人は多くありませんでした。 この事態を予想して、 患者さんの体脂肪率などを入れると目標体重や摂取カロリー減少量などの結果を 数式で計 […]

  3. […] 2つの変数に一定の傾向が見られたときには、 それが原因と結果 […]

  4. […] 複雑:人間が太ったり痩せたりする仕組みが込み入っている、 新奇: […]

  5. […] 交絡因子と、数量的な取り違え(過大視、過小視) […]

  6. […] 数字(量)が大切だとか言っていますので、 […]

  7. […] 『朝食を摂らせるようにしたら成績が上がった』という調査がある […]

  8. […] その通りの条件で実験をしたときには再現できない […]

  9. […] 原因としてあまり寄与していない、寄与度が少ないと言います […]

  10. […] 実行が難しい方法でも否定はされない、という「科学のシステム」 […]

  11. […] 今までに聞いたことと反対のことを拒絶しない方法 […]


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