ダイエットが糖尿病や高血圧など生活習慣病の治療として行われる場合、食事療法と呼ばれます。その代表は、「食品交換表(1975年=昭和40年初版)」による糖尿病の食事療法です。
ところが、生活習慣病の診療に携わる医師の間では十分に使われていません。
原因の1つは、食事療法の効果が不確実であることです。
カロリーや塩分を制限した食事療法を忠実に実行しても、(面倒な割に)十分に血糖値や血圧が下がりません。その原因は、
「摂るカロリー」でなく、今の食事から「減らすカロリー」を考える
で述べたように、
- 指示される「摂るカロリー」が、生まれつき消費カロリーが少ない人には多すぎる
(体重方程式» 今の食事から減らすカロリーで計算した「減らすカロリー」を使うと、消費カロリーの少ない人でも確実に摂取カロリーを減らせます)
ことのほかに、
- 目標体重として、BMIから計算した標準体重を使う、
(体重方程式» 今の食事から減らすカロリーでは、体格を考慮した体脂肪率を使って「減らすカロリー」が計算できます) - 減塩には、原理的に反応しない(血圧が下がらない)高血圧の患者さんが半数以上いる
ことなどがあります。
生活習慣病に対する治療効果が不確実であれば、その間に、糖尿病の(目、腎臓、神経への)合併症や、脳や心臓の動脈硬化が進行し、最終的に脳卒中や心筋梗塞を起こし、患者さんを命の危険にさらすことになります。
その一方、薬を処方すれば、糖尿病や高血圧、脂質異常賞の薬は、血糖値や血圧、コレステロール値を十分に低下させ、さらに脳卒中や心筋梗塞の発生率を下げられることが分かっています。
医師が確実な効果を求めるときに、食事療法よりも薬の処方に軸足を置きがちになることは、理解してもらえると思います。
2つ目の原因は、費用が掛かりすぎることです。
食事療法を実行するためには、このブログで述べている方法より、はるかに手間が掛かるだけでなく、生活環境やリズムが考慮されていないので、実行にはかなりの困難(つらさ、費用)が伴います。(多くの患者さんが結局挫折してしまいます)
また、医師、看護師や栄養士の側からは、食事療法の意義や、その患者さんに応じた具体的な方法を伝える(言いっ放しでなく、患者さんにちゃんと伝わる)には、労力も時間も(そして患者さんに理解してもらえないときにはストレスも)掛かります。
これらの労力や時間をお金の面から見た人件費という費用は安くはありませんし、健康保険や患者さんにそれに見合うだけの請求することもできません。
以上2つの理由、
- 食事療法は、薬を処方するよりも、効果が不確実で、費用が掛かる
により、医師自らが熱心に(栄養士に依頼するのでなく)食事療法を指導しているという人はかなり少ないだろうと思います。
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