ダイエット・食事療法を行うなら、寿命に影響するので、結果を出さなければならない。(そのために、カロリーを多く摂っている食品に注目し、楽な方法を追及する)

高血圧、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病など、生活習慣病の患者さんに、
体重を減らしましょう、と勧めるのは医師の仕事のひとつです。

「ウーン、やっぱりそう来るよな」という顔をしている患者さんには、
その患者さんが辛そうなことはしなくてもよいということ、たとえば、

ビールは止めなくてもいいです」であるとか、
運動はしなくてもいいです」と言うことにしています。

今度は、「そんな話は聞いたことがない」と不審がる患者さんが多いので、

全体のカロリーから見ると、
アルコールや運動や暴飲暴食のカロリーが多くないことを伝えます。

  ・ ビール350mlで摂っているカロリーは1日の総摂取カロリーの7%

  ・ 毎日30分のウォーキングで消費するカロリーは1日の全消費カロリーの5%

  ・ 月に2回の暴飲暴食で摂っているカロリーは1カ月の全摂取カロリーの5%

しかありません、というようにです。

これから分かることは、カロリーの大部分は、

  ・ アルコールではなく、食事で、
  ・ 運動ではなく、基礎代謝(じっとしていても使うカロリー)で、
  ・ 暴飲暴食ではなく、ふだんの食事で、

摂ったり、消費したりしている、ということです。

その患者さんが生活習慣病を治すために必要な「減らすカロリー」が
全摂取カロリーの20%だったときには、
「ビール、ウォーキング、暴飲暴食」を全部実行しても、まだ足りません。

しかし、カロリーの大部分を占める
「ふだんの、減らしやすい食事」から減らすようにすれば
何の問題もなく実行できるのです。

では、(患者さんだけでなく、私たち皆は)
なぜ全体から見ると小さい部分に捕らわれて
それを減らすことにこだわっていたのでしょうか?

1つは、カロリーが高いものに目が奪われていたことによります。

カロリーが高いというのは、
食品のカロリーでいうと100g当たりのカロリー数が大きいということです。
(純粋の)アルコールは100gで700kcal、
食用油は100gで900kcalあるので、
ごはん100gが160kcalに比べるとカロリーが高い、ということになります。

ところが、アルコールや食用油など、カロリーの高いもので摂っているカロリーは、
全摂取カロリーの中では多くありません。
なぜなら、その食品で摂っているカロリーは、
100g当たりのカロリーに、摂った量を掛けて計算するからです。
100g当たりのカロリーが高くても、
摂っている量が(ごはんなどカロリーがふつうの食品に比べて)少ない食品からは、
あまりカロリーを摂っていません。

(極端な偏りのない食事をしている人が)
摂っている大部分のカロリーは、カロリーがふつうの
ごはんやパンなどの炭水化物や、肉や魚などの蛋白質から摂られています。

ですから、現在の日本で太っている人の多くは、
カロリーの高いものを摂っているからではなく、
カロリーがふつうのものを(量を)多く摂っていることが、その原因なのです。

もう1つの、「小さい部分に捕らわれていた」原因は、
気持ちのいいことをがまんしたり、つらいことをしたりすると、よいことがある
という考え方です。

子どものころから、勉強でもスポーツでも、つらいことをしなければ…、
という考え方に慣らされ、
しまいには、同じ結果だったらつらいほうの方法でしないと、
という人もいるくらいです(「タルチュフ」を出すのは不謹慎?)。

しかし、最近では結果優先になり、
いくら苦しいことをしても結果が伴わなければ評価されない
ことが多くなってきました。

この風潮については、いろいろな意見があるようですが、
こと、食事療法については、患者さんの寿命に影響するので、
結果優先(つまり、同じ結果なら楽な方法)がいいと思います。
美容目的のダイエットでも、結果でナンボでしょう。

このブログには、つらいことを避けて結果を出して、それを維持する方法を
たくさん(ほとんどそればかり)書きましたので、
あちこち読んでもらえると参考になると思います。

コメント / トラックバック6件

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