2010年5月 の記事

必要な段取りをしておくと、誘惑と戦わなくてよいから、楽に効果が出せる (不要な手間は挫折を増やす)

この前、皮膚科の医師と話す機会がありました。
彼は、塗り薬を処方するとき、チューブではなく、プラスチック容器で出すようにしているとのことでした。

チューブだといちいち押さなければならないので、十分な量が塗られない、したがってその分治りが悪くなる。
その点、容器ならば、一度ふたをはずせば、チューブを押さなくても、指に十分な薬が付いてくるので、そのようなことはないのだそうです。

この話から、教訓を2つ。

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新たに発見されたしくみが、役に立つと分かるまでに越えなければならない関門・その3 (数量的に十分な効果はあるか?)

問い3:
かりに、いろいろな調査をしても、やはり、夕食を早い時間帯に摂ったほうが体重が少ない、という結果になったとします。(前回の「再現性」という条件は満たしています)

この結果を元にして、生活習慣病の患者さんに、同じカロリーの夕食を早く食べてもらうようにしたら、治る人はいるでしょうか?

答え3:

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新たに発見されたしくみが、役に立つと分かるまでに越えなければならない関門・その2 (実験・調査に再現性はあるか?)

問い2:
同じ食事(カロリーも同じになります)を、2つのグループの人たちに、
摂る時間帯を変えて摂ってもらうという調査をしたところ、
遅い時間に摂るグループより、早い時間帯に摂るグループのほうが、
体重が少なかったとします。
前回の「体全体で」という条件は満たしています)

この結果を根拠にして、早い時間帯に食事を摂るほうが、体重が増えにくい
と言っていいのでしょうか?

答え2:

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新たに発見されたしくみが、役に立つと分かるまでに越えなければならない関門・その1 (体全体でも働きは同じか?)

問い1:
かりに、ある脂肪を貯めるしくみが発見されて、それが夕方早い時間帯より夜遅い時間帯のほうで、よく働くことが分かったとします。
夕方の早い時刻に食事をすれば、同じカロリーの食事をしても、脂肪が蓄えられにくくなるでしょうか?

答え1:

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ある説に合った例だけを出して、合わなかった例を隠せば、どんな説でも真実になる(一度良い評価を得た食品を患者さんに減らしてもらうのは難しい)

生活習慣病の患者さんに、
魚と大豆の摂り過ぎにも気を付けてください、
と言ったときにしばしば、
魚と大豆をしっかり摂るんですよね
と念を押してきます。

そして、魚と大豆製品は、肉や卵と同じだけカロリーがある(実際にあります)ことを伝えると、驚きます。

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医学の進歩は、それまで原因だと思われていたことがそうでないと分かったことの積み重ねで成っている(小さいことにとらわれていると治るものも治らない)

アルコールを多めに飲む人に限って「酒は止めないといけないんでしょう?」、
体重が重くて運動がつらそうな人に限って「まず運動ですよね?」、

と言います。前々回に、そう書いたように、
生活習慣病の患者さんが、治す方法として考えているのは、
「自分が一番つらいことをしないと病気は治らない」
という原理に基づいていると思えることがあります。

確かに、アルコールにもカロリーがあるので、アルコールを減らしたほうが、
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食事療法を効率的に行う質問票を作りたいが、患者さんの反論で余計に手間が掛かりそう (真実が早く常識にならないと日本の医療は破綻する)

慢性閉塞性肺疾患(COPD:タバコが主な原因で、肺が損なわれることによって呼吸困難になる病気)の患者さんの教育のために、質問票を活用してうまくいったという話があります。

一般の医師でも知っている話を元に想像すると(イギリスのある地域の話で詳細不明なので)、
「たんが切れやすくなるので、運動した方がよい」 であるとか、

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目的の重大さと手段の容易さ(脳卒中・心筋梗塞の予防に、つらいことは必要ないこと)を訴えないと、生活習慣病を治す機会が失われる

4月に年度が替わって健康診断を受けた、という人もいると思います。
昨年から会社などの健康診断(特定健康診断、いわゆるメタボ健診)の問診で、
「生活習慣を改善するつもりはあるか?」 という項目が加わっています。
はい、と答えた人のほうがやる気があるだろう、と考えた厚生労働省が、
特定保健指導(メタボ保健指導)を受けてもらう人を選ぶために作った項目なのでしょう。

この質問に、いいえ(生活習慣を改善するつもりはない)、と答えている人でも、

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医師が、食事療法を生活習慣病の重要な治療法として認めるためには、確実にカロリーを減らす必要がある (体重を計るだけで体重が減ることはない)

(1日に何度も)体重を計るだけ、というダイエット法に従って、

   ・ 「できるだけ」体を動かして、余分な間食などを摂らない、

ようにしていても、一定の期間後に体重がどれだけ減るかは分かりません。

それは、1日に何度体重を計っても、
測った体重と、カロリーの出入り(すなわち脂肪組織の増減)との関連が薄いことや、
運動後の間食など、かえって体重を増やすこともしてしまう(試行錯誤する)ことによります。

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体重を一定に保っているしくみとは、生物的な制御機構でなく、それまでに聞いた知識と社会的生活の制約 (正しい知識に改め、制約に従うと挫折がない)

毎年の健診結果を見ていると、体重に変化のある人は少ないです。
あたかも、その人に決まった体重があって、その体重から外れても元に戻ってくるようなしくみ(制御・調節機構)があるように見えます。

この現象を説明するものとして、10年くらい前に注目されたのが、
ネズミが太ってきた時に出る、レプチンというホルモンでした。

このホルモンは食欲を抑えるので、
ネズミを一定以上には太らせないように働く
と考えられたのです。

同じ哺乳類ですから、人間も同じしくみで体重を調節しているのではないか?
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