「減らしてよい体重」
という検索語で、このブログを訪れてくれた人がいました。
今回は、これをお題にして、最終的に、
体脂肪率から、高血圧、脂質異常症、糖尿病など生活習慣病の患者さんにとって、
「この体重に減るまでは治るチャンスがある体重」をExcelで計算します。
訪れてくれた人は、体重を減らし過ぎると、体調を崩したり栄養不足で病気になったりという弊害が出るので、この体重までは減らしてよい、という体重が知りたい、ということだったと思います。
その体重は、現在の筋肉や内臓の重さ(一般には、除脂肪体重といいます)に適切な体脂肪の重量を加えたものになります。
一方、減らしてよい体重、という言葉からは、見た目や健康など体重を減らそうとする目的に応じて、できる限り体重を減らしたい、という望みも感じられます。
実際、生活習慣病の食事療法で、患者さんのカロリーを
現在使われているBMI法による標準体重
[身長(m)×身長(m)× 22(kg)]
(身長が170cmの人なら、1.7(メートルなので) × 1.7 × 22 = 63.6kg)
で決めると、やせ型の体形の人は、体脂肪が多くなりすぎて、
治らない患者さんが多くいるという問題があります。
できる限り体重を減らしたいのは、病気が治る患者さんが増えるはずだからです。
その問題を解決するために、
どこまでなら体脂肪率を減らしても、生活習慣病が治る可能性があるのかを、
健康診断の結果で、体脂肪率と有病率の関係を調べてみました。
すると、どの生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病)でも、
男性10%、女性20%くらいまでは、
有病率が下がり続けるということが分かりました。
高い(数字が大きい)体脂肪率を目標にして、病気が治らないよりも、
この体脂肪率を目標にして治るチャンスを追求した方がいいと思います。
また、「減らしやすい食事」で、カロリーを減らすようにすると、
実行は難しくありません。
目標の体脂肪率として、男性10(%)、女性20(%)を入力すると、
目標の体重が計算されるようになっています。
[第33回日本肥満学会 2012.10.11 原稿]
ただし、これを元に、摂るべき摂取カロリーを決めると、誤差が大きくなるので、必ず、「今の食事から減らすカロリー」を計算するようにしてください。
また、筋肉や内臓の重さ(除脂肪体重)を減らさないために必要なことは、蛋白質を必要量摂ることだけで、運動は必要ありません。
[…] これ以下に減らしても病気が治るチャンスが増えない体脂肪率 (すなわち、この値に減るまでは病気が治るチャンスがある体脂肪率) […]
[…] 摂るカロリーではなく、今摂っている食事から減らすカロリーを計算 […]
[…] という内容を理解してもらいやすくなり、 体重が減って病気が治る […]