ダイエット・食事療法が失敗する最大の原因は、蛋白質がブドウ糖に変わることを知らないこと(これが分かると、確実、容易に成果を上げることができる)

ダイエット・食事療法が失敗するのは、

  人間の体は蛋白質を糖質(ブドウ糖)に変える

ことを知らないのが最大の原因です。
これを知らないことから、

1.空腹感は、血液中のブドウ糖が少なくなっている信号なので、
  放っておくと脳や体の働きが悪くなる

2.蛋白質は筋肉や血液など体を作っている栄養素だから、減らしてはいけない

という2つの誤りが生じ、
それがダイエットの実行を難しくし、効果をなくしているのです。
正しい知識は次のとおりです。

1.人間の体は、体を作っている蛋白質を原料にしてブドウ糖が作れる

  (図1)ので、血液中のブドウが減って脳の働きが悪くなることはない

図1.体蛋白はブドウ糖に変換され、消費される
 体蛋白の一部は、常にブドウ糖1) 1.変換 されて、 2.消費 されている
→糖質(炭水化物)を取らなくても、脳へのブドウ糖は途絶えない
 ブドウ糖に 1.変換 された体蛋白は、食物から取った蛋白質で 3.補充 される
 この量が、蛋白質の必要量(1g/体重1kg/1日)

この(正しい)知識からは、
お腹が空いても脳や体に悪くないから、食事をしっかり摂らなくてもよい
つまり、朝食や昼食を減らしたり抜いたりしてもよいことになり、
確実に摂取カロリーが減り、体脂肪が減るという結果を出すことができます。

「でも、お腹が空くのはつらい」

という患者さんには、

  つらかったのは、
  脳の働きが悪くなって意識がなくなる(低血糖発作)のが怖かったからで、
  空腹感は、何もしなくても数分で消えてしまい、それ自体はつらくない

と説明すると安心してもらえます。

2.摂り過ぎていた蛋白質は、ブドウ糖を経て体脂肪として蓄えられる

  (図2)ので、必要量を越えて摂っていた蛋白質は減らしてもよい

図2.摂り過ぎた蛋白質は体脂肪になる
 必要量より多く取った蛋白質は、 3-補充 にも 2-消費 にも使われず、
 行き場所がない
→体脂肪になって 4.貯蔵 される

この正しい知識からは、
肉や卵だけでなく、
減らすべき食品とされていなかったので、制限なしに摂っていた魚・大豆・乳製品が
体脂肪を増やしていた
ことが分かります。

これらの知識の具体的な応用

としては、

  昼食と夕食のうち1食をお茶漬けやパンなどの炭水化物だけで軽く食べると
  蛋白質が必要量まで減らせる

のような例があります。
この減らし方で蛋白質が不足する人もまれにいますが、
摂らねばならぬ食品の量で確認すると、問題のない人が多いと思います。

今回の記事は、蛋白質がブドウ糖に変わることを述べた

蛋白質はブドウ糖の原料…その1

をまとめたものですが、新たに書き起した図1、図2とともに読むと、
全体の見通しをつかむために役立ちます。

———————————–
1) 一部は脂肪酸に変換されて消費されている

コメント / トラックバック11件

  1. taijuuh より:

    「詳しく知る」必要はありません。大体わかればいいのです。

    食事や運動が普段と違う日があると、それが記憶に残りやすいですが、普段の日は同じような生活をしているものです。
    その普段の日が体重や生活習慣病に影響するので、確実に変えればよいのです。
    普段の昼食が定食パターンだったら、それをおにぎりだけに変えるとか…

  2. より:

    人間の体の仕組みや日々の運動によって個体差がでますよね
    詳しく知るにはどうしたらよろしいの

  3. taijuuh より:

    このブログ管理者の自己コメントです。

    本日 (2014.8.6)、Facebookからたくさんの人が見に来てくれていますが、どのページからなのかが分かりません。(Facebookはそのように作ってあるようです)

    よければ、このコメント欄から誰か教えてください。

  4. […] ただ、それまでに学んだ知識が妨げになったり、 この記事に視覚的な図がなかったりすることで、分かりにくかった人は、 大事なところなので、以前の記事(1、2、3)も合わせて読んでください。 […]

  5. […] 、筋肉などに含まれる体蛋白は、 次の食事で摂った蛋白質で補充 […]

  6. […] 作る能力があることから 食生活の個性に合わせてカロリーを減らしてもよい […]

  7. taijuuh より:

    ニックさん

    引用されたサイトのE医師は、今のところ蛋白質の代謝に十分な知識がなく、
    過剰に摂った蛋白質が体脂肪になり
    その体脂肪がインスリン抵抗性を高めることによって
    糖尿病を治らなくしていることに気付いていません。

    引用先を見ると、米国糖尿病学会もこれに気が付いていないようです。
    彼らもこの何十年かは、肥満者の極端な増加で
    糖尿病についてちゃんと考えられなくなっているので、
    あまり振り回されないほうが良いと思います。

    あせる必要はありません。
    2型糖尿病なら、糖質を摂取していても、(蛋白質を含めた)
    総カロリーを減らして体脂肪を減らせば治ります。

    ネットでなく、下記コメントの書籍でじっくり勉強されると
    それがお分かりになると思います。
    このブログ内なら、とりあえず、
    「糖尿病が治る」ということが分かるためには、…
    辺りをもう一度ご覧ください。

    具体的には、今の食事から減らすカロリーを計算し、
    減らしやすい食事から
    必要なだけ食事の量を減らす
    とよろしいと思います。

  8. ニック より:

    taijuuh様、お返事ありがとうございます。
    最近、糖尿病になりまして、うろたえています。
    いろんなサイトを拝見させていただき、知識を増やして何とか落ち着こうとしています。
    勿論こちらのサイトも最初から拝見させていただきました。
    さて、別のサイトに以下のような記述があったのですが、
    taijuuh様はこのような記述にどのようなご意見をお持ちでしょうか。
    全く真逆な内容なので私個人としてはどう理解してよいのやら困っています。
    お忙しいとは存じますが何とぞ宜しくお願い申し上げます。

    以下、引用

    2004年版のLife With Diabetes(米国糖尿病協会・ADA)によれば(☆☆)、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わり、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。

    「Carbohydrate,protein,and fat contain calories.
    Only Carbohydrates directly affect blood glucose levels. 」 3rd Ed,2004

    直訳すると、

    「炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。炭水化物だけが、血糖値に直接作用する。」

    1997年版のLife With Diabetesでは、(☆)

    「タンパク質は約50%が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」

    という記載がありますが、2004年版では削除されています。

    上記以外にも1997版で記載されていた、脂質とタンパク質と血糖に関する記載が 2004年版では全て削除されています。

    2009年版もそれを継続していると思われます。( ☆☆☆)

  9. taijuuh より:

    ニックさん
    エビデンスも何も、生化学、糖尿病学の分野では数十年前から自明の事実です。
    お勉強されるなら、以下の本をお勧めします。

    イラストレイテッド生化学 原書6版 石崎泰樹・丸山 敬 監訳 丸善出版
    ■目次より抜粋
    V:代謝の統合
     23:インスリンとグルカゴンによる代謝の制御
     24:摂食空腹サイクル
     25:糖尿病
     26:肥満
     27:栄養
     28:ビタミン

    拙著「メタボ氏のための体重方程式」なら、
    第5章 遊牧民族や狩猟民族が糖質(炭水化物)を摂らずにいても、低血糖が起こらないのはなぜ?
    をお読みください。

  10. ニック より:

    初めまして、ニックといいます。
    2型の糖尿病です。
    さて、質問ですが、
    タンパク質がブドウ糖に変わるという根拠は何でしょうか?
    いわゆるエビデンスを明らかにして頂ければ幸いです。
    宜しくお願い申し上げます。


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