生活習慣病の患者さんに、
魚と大豆の摂り過ぎにも気を付けてください、
と言ったときにしばしば、
魚と大豆をしっかり摂るんですよね、
と念を押してきます。
そして、魚と大豆製品は、肉や卵と同じだけカロリーがある(実際にあります)ことを伝えると、驚きます。
慢性閉塞性肺疾患(COPD:タバコが主な原因で、肺が損なわれることによって呼吸困難になる病気)の患者さんの教育のために、質問票を活用してうまくいったという話があります。
一般の医師でも知っている話を元に想像すると(イギリスのある地域の話で詳細不明なので)、
「たんが切れやすくなるので、運動した方がよい」 であるとか、
4月に年度が替わって健康診断を受けた、という人もいると思います。
昨年から会社などの健康診断(特定健康診断、いわゆるメタボ健診)の問診で、
「生活習慣を改善するつもりはあるか?」 という項目が加わっています。
はい、と答えた人のほうがやる気があるだろう、と考えた厚生労働省が、
特定保健指導(メタボ保健指導)を受けてもらう人を選ぶために作った項目なのでしょう。
この質問に、いいえ(生活習慣を改善するつもりはない)、と答えている人でも、
毎年の健診結果を見ていると、体重に変化のある人は少ないです。
あたかも、その人に決まった体重があって、その体重から外れても元に戻ってくるようなしくみ(制御・調節機構)があるように見えます。
この現象を説明するものとして、10年くらい前に注目されたのが、
ネズミが太ってきた時に出る、レプチンというホルモンでした。
このホルモンは食欲を抑えるので、
ネズミを一定以上には太らせないように働く
と考えられたのです。
同じ哺乳類ですから、人間も同じしくみで体重を調節しているのではないか?
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食事や飲み物を摂ったあとは体重が増え、運動したあとは体重が減ります。
しかし、この体重変化はほとんどが水分によるもので、
摂取や消費をしたカロリーを体脂肪に換算した重量は、
その1/10程度にしかなりません。
しかも、体重とカロリーの比率は一定ではないので、
同じだけ体重が増減しても、カロリーの摂取量や消費量は異なります。
ダイエットは、正しい知識を学習してから、今の食事から「減らすカロリー」を減らしやすい食事から減らすと挫折しにくい、ということを述べてきました。
さらに、そのあとの体重の変化、特に体重がだんだん減りにくくなってくることについて分かっているともっと安心です。
これについて今までは、「ホメオスタシス」(注:英語の用法)すなわち、
前回、食事療法で生活習慣病が確実に改善しない理由の1つは、
目標体重として、BMIから計算した標準体重を使うことだと述べました。
BMI法による標準体重とは、この体重の人が最も死亡率が少なかったという研究を根拠にして作られたもので、
ダイエットが糖尿病や高血圧など生活習慣病の治療として行われる場合、食事療法と呼ばれます。その代表は、「食品交換表(1975年=昭和40年初版)」による糖尿病の食事療法です。
ところが、生活習慣病の診療に携わる医師の間では十分に使われていません。