新たに発見されたしくみが、役に立つと分かるまでに越えなければならない関門・その1 (体全体でも働きは同じか?)

問い1:
かりに、ある脂肪を貯めるしくみが発見されて、それが夕方早い時間帯より夜遅い時間帯のほうで、よく働くことが分かったとします。
夕方の早い時刻に食事をすれば、同じカロリーの食事をしても、脂肪が蓄えられにくくなるでしょうか?

答え1:

これだけではどちらともいえませんが、

  • その(早い時間に食べても、脂肪が蓄えられにくくなる)可能性は低い、

というのが正解です。

問いには、「ある」脂肪を蓄えるしくみ、と書いてありますが、これがミソです。

別の脂肪を蓄えるしくみ(「ある」しくみとは別の)があって、
そのしくみは早い時間帯のほうがよく働き、
しかも、「ある」脂肪を蓄えるしくみより強力だった、

というときには、両方のしくみ(「ある」と「別の」)を合わせると、早い時間帯に食べるほうが多く脂肪が蓄えられるということになります。

実際にはこの可能性も少なく、早い時刻でも遅い時刻でも、

  • 消費されなかったカロリーがそれに相当する分だけ脂肪として蓄えられる

というのが最もありそうな話です。

では、夜遅く食べるようになってから、体重が増えた理由は何かというと、
仕事が遅くまで掛かるからということで小腹が空いたときにカップラーメンなどの間食を摂るようになり、その分摂取カロリーが増えたからです。
夜遅く摂っても、それまで何も食べなければ体重が増えることはありません

人体には、まだ分かっていないしくみがたくさんあり、これからも新しいものが見つかっていくでしょう。
しかし、そのしくみがあるから、体全体でも同じような結果になる、
(早い時刻に食べると脂肪が貯えられにくいしくみがあるから、体脂肪が増えにくい)
とは限りません。

新たに発見されたしくみが働くとおりに、人間の体も働くかどうかは、
人間または動物の体(全体)を使って調べなければいけません。
その結果、体全体でも同じ働きがあると分かっても、それに意味がある、つまり私たちの役に立つことが確かめられるまでには、越えなければならない関門がさらにいくつかあります。

その関門について、次回からも問いと答えと言う形で述べていきます。

コメント / トラックバック6件

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