血圧が高いまま放っておくと、脳卒中や心筋梗塞になりやすい、
ということはよく知られています。ところが、
「高血圧の薬を飲んでいる人と、飲まないで血圧が高いまま放っている人では、
どちらが長生きしているか?」
という質問には、間違った答えをする人がいます。正解は、
薬を飲んで、血圧を下げている人です。
これまで、血圧を下げる薬の効果を調べたどのような調査でも、
薬を飲んでいる人たちのほうが、脳卒中・心筋梗塞になりにくく、
死亡率が低いという結果が出ています。
ある調査では、薬を飲んでいる人たちに比べて、
飲まない人たちの死亡率があまりにも高いので、
このまま続ける(と薬を飲まない人たちが亡くなっていく)ことは、
倫理的に問題がある、ということで、
調査が予定より早く打ちきりになった、という話もあります。
(薬を飲まない人は亡くなっていきますよ)
答えを間違った人に理由を聞いてみると、
「薬には必ず副作用があるから、飲み続けていると長生きできないと思う」
という答えが返ってきます。
「副作用のない薬はない」
というのは、よく知られた言葉ですが、その意味は、
「副作用が(どんなに軽いものでも)1つ以上出る人が100人中3人」
「副作用が全く出ない人が100人中97人」
(血圧の薬と抗がん剤など、数字は薬の種類によって違います)
で、「ほとんどの人には副作用が出ない」ということです。
つまり、この言葉は医師に対して薬の安易な使用を戒めた言葉で、
(その患者さんに副作用が出るかどうかは、前もって分かりませんから、
かりに副作用が出ても医師の責任ではありませんが、
患者さんとも、お互い気がよくないこともありますから)
患者さんに必要な薬を飲まないことを勧める言葉ではありません。
また、重い副作用が出た薬は発売中止になりますので、
寿命を延ばすという薬の主作用と、軽い、ほとんどない副作用を比べると、
飲まなきゃ損、というのが血圧の薬です。
このような薬があるときに、
効果が不確実(その結果、患者さんの命を危険にさらすことになります)で
費用が掛かる食事療法を積極的には行なってない医師がほとんどです。
いつもどおりの長い前振りの後で、ここからが本論です。
以上のような状況であるにもかかわらず、
今や、この方法では、医療の制度全体が立ち行かなくなってきました。
なんといっても、患者さんが多すぎる、
それは、医師の仕事が多すぎる、すなわち、医師の数が足りない、ということで、
すでに医学部の定員も増やされています。
しかし、現在の生活習慣病の治療法を続ける限り、
患者さんが減ることはないので、医師の数が必要を満たすことは当分ないでしょう。
また、医師の仕事を減らそうとして、
厚生労働省が考えた特定健診(いわゆるメタボ健診)、特定保健指導も、
[保健指導による体重減少](ウェブ検索してください)の報告を見る限り、
意余って力及ばず
で、患者さんの数を減らすことなど思いも寄らないという状況です。
患者さんに治ってもらえば、医師の仕事に余裕ができ、医療費も抑えられます。
そのために必要なことは、このブログで述べてきた、
わずかな数の、正しい知識だけなのですが、
今までの行き掛かりもあって急に広まるということにはなっていません。
次回は、高血圧を食事だけで治すのは容易、
という話をしたいと思います。
[…] にもかかわらず、薬を飲んだ方がよいのは、 薬を飲んでいる人の […]