高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病の患者さんに、
「病気を改善するために、まず何をしようと思いますか?」
という質問をします。
すると、ほとんどの場合には、
「できる範囲で運動 [1]」、「暴飲暴食、間食 [2]、アルコール、油っこい食品 [3]を減らす」、
という、誤った答えが返ってきます。
(患者さんの病状や生活環境を考えるとその答えが正しい場合もあるが、まれです)
誤った原因に共通しているのは、細かいことにとらわれたこと
誤った原因は次の2つです。
1.消費カロリーの大部分は基礎代謝 [1]で、じっとしていてもカロリーは
多く使われている
2.摂取カロリーの大部分はふだんの3度の食事 [2]で、カロリーが高くない食品 [3]から
摂っている
これらの原因には、
人間の体から出たり入ったりするカロリーのほんの一部だけを見て、
大部分は見ていないことが共通しています。
さらに、この誤りの背景には、
運動や暴飲暴食などが日常生活とは異なることをするので、
その行いが意識されやすい一方、
ごはんやおかずを3度の食事で摂るのはいつものことなので、
意識されずに記憶に残りにくいことがあります。
生活習慣病の原因を考えても、初めから記憶に残っていなければ3度の食事に思いが至ることはないでしょう。
鍵の掛け忘れが気になっても、いつもしている手順は記憶に残りにくいから思い出せないのと同じです。
正しい生活習慣病の対策を考えるときには、
生活習慣病という名前が、「ふだんの」生活習慣が原因であるのを反映している [4]
ことに立ち返って、
消費カロリーや摂取カロリーの大部分を占める基礎代謝や3度の食事に
注意を向け直す必要があるのです。
ここまでは、細かいことにとらわれて大きなところを見逃した [5]ために、
物事がうまく運ばなくなる話です。
必要な知識を知らないことが誤りの原因になることもある
反対に、詳しい知識が足りないことが原因 [6]で、生活習慣病が治らなくなるのは、
3度の食事の中でカロリーを減らそうとするときです。
「どの食事から、どの食品を減らすとよいと思いますか?」
と患者さんに質問すると、やはり、
という(患者さんの環境 [9]や嗜好 [10]を考えると)誤った答えが返ってきます。
患者さんが答えを誤る原因になった足りない知識とは、蛋白質についてのもので、
1.人間に、体の蛋白質からブドウ糖を作るしくみがあるので、
朝食を摂らなくても脳が必要とするぶどう糖は不足しないこと、
2.一方、この蛋白質からブドウ糖を作るしくみがあるので、
食事で蛋白質を摂り過ぎると、ブドウ糖や脂肪に変わって肥満の原因になること
の2つです。
これらの知識が知られていないため、カロリーを減らすとき、
朝食・昼食や蛋白質を減らすことが選択肢に入らず、
減らしにくい夕食を減らして挫折したり [11]、
生活習慣病を治すのに必要なカロリー [12]を減らし切れなくなったりします。
その結果、生活習慣病を生活習慣変えることで治すことは難しいと思われています。
しかし、そうではないことは、(青い文字の)リンク先をクリックしていくと明らかになっていきます。
必要な知識を学んでいくと、おのずと全体が見えてくる
さて、以上の話の前半が、
細かいところをたくさん学んでも、いろいろ考えて知識を整理していかなければ、
全体が見えなくなる
(論語の「学びて思わざれば則ち罔し」の意訳です)
ということの例で、後半が、
物事をいろいろ考えても、基礎となる知識を学んでいないと、
現実に効果がある対策を立てることができない
(論語の「思いて学ばざれば則ち殆うし」です)
ということの例になっていることを確かめてみてください。
細かすぎず、といって大雑把にもすぎないことは、
難しく思えるかもしれませんが、楽天的に、
必要な知識を学んだうえで、全体を見るようにすれば、実行は簡単
と解釈すればよいと思います。
具体的には、このブログの、このページのリンク先をクリックしていくと必要な知識を学べます。そうすれば、ダイエット・食事療法の全体が見えてきて、実行に移すときには、もう半分以上成功しています。