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食事療法の基本が、糖質制限食ではなく、カロリー制限食であることを納得させるためには、適切な手続きを経た、このブログの方法でカロリー制限食の弱点を克服した研究を行うしかない

このブログのある記事 [1]は、論拠が不十分だ、
という意見を、ある運動愛好家のSNSでもらったので、
私のほうからも意見を述べました。
書いているうちに、

  私が原理としているカロリー制限食 [2]が置かれている危うい立場と、
  それを克服する方法

が分かってきたので、今回の記事にします。

―――――(以下、SNSでの私の意見)―――――

○○○○さん、

早い時刻に食べても体重は減らないことについての私の説明 [1]が不十分という)
ご指摘、ありがとうございます。さて…

> 「ない」ことの証明は困難を極めます

この困難さから名付けられたのが、「悪魔の証明」というもので、

  黒いカラスがいる

ことを証明するのは、(1羽だけ示せばよいので)簡単だが、

  黄色いカラスはいない

ことを証明するのは、すべてのカラスを捕まえて、

  「いなかったでしょう?」

とやらねばならない云々…というのはご存知でしょう… か?…

論難されたカルト集団が追い詰められて居直るときにも、

  「自分たちの治療手段に効果がないことを証明せよ」

と迫ってくるのですが、そんなことは(悪魔の証明だから)無理なので、
効果があると主張するほうが(自説が正しいことを)証明しなければならない、
ことになっています。

(このように、実際には効果が無いのに、それ(効果が無いこと)を証明するのが難しい、
という科学を行うシステムの不備 [3]をついて、間違った主張がなされるのは困ったことです)

そのような訳で、
ご指摘の「早い時刻に食べても体重は減らないことを証明する件」に戻ると

  早い時刻に食べても体重は減らない、

と主張する私の側には、「ないことを証明」する義務はなく、

  早い時刻に食べると体重が減る、

と主張する人が体重が減る効果が「あることを証明」するべきなのです。

以上は、論理(学)的に「ないことを証明する必要はない」という話ですが、実際にも、

  △△と思ってやってみたが、そうではなかった、

という研究論文が発表されることは、あまりありません。それは、

  体細胞から分化能を持った細胞を誘導しよう(作り出そう)としたができなかった

という、「ない論文」より、

  (人類の幸福に役に立つ)iPS細胞があった

という「ある論文」のほうが価値が高いからです。

(「ない論文」が千あっても、人類への貢献は「ある論文」1つにかなわないでしょう?)

―――――(以上、SNSでの私の意見。ここから下は記事本文です)―――――

このように、

  「ある論文」ばかりが公開されて、「ない論文」が公開されにくい

ことは以前から知られていましたが、それによって、

 ・ 同じような「ない研究」が繰り返され、研究者・資金・時間・研究対象者
  (自由意思で参加した患者さん)などの研究資源が無駄に使われてしまう

 ・ 「(効果が)ない研究」の結果が正しくて、本当は効果がないにもかかわらず、
  「ある研究」の結果に基づいて無効な治療が行われ続けられる

という困ったことが起こります。

特に、人間の患者さんを対象にした薬などの治療法(手術や食事療法も含みます)
の研究でそういうことがあると、

 ・ 何より、研究対象になることを引き受けてもらって、しかも効果がなかった患者さん
  (もしこの研究に参加していなければ他の有効な治療法を受けられたかもしれません)
  に申し訳ないし、

 ・ 効果がなかったという研究結果が治療方針に反映されないまま、
  効果がない治療法を受け続ける患者さんにも気の毒

です。それを防ぐために、

  臨床試験登録(興味がある人はウェブ検索してください)

という制度=システムができて、
実際に試験的な治療(治験)を始める前から、研究計画をそのシステムに登録し、
その結果は、効果があってもなかっても、公開されることになっています。
近頃は、その登録を怠ると、公的な研究費が出ないし、
有力な学術雑誌では論文が受理されなくなり、臨床研究には欠かせなくなっています。

このような制度ができたことで、研究資源の無駄が防げるだけでなく、
SNSで指摘されたような「(早い時刻に食べても効果が)ないことの証明」が容易になり、
無効な治療法が行われにくくなります。

一方、この制度で適正な手続きを経て行われた研究で効果がある、ということになれば、
研究者、医療従事者、患者さんを納得させて、本気で実行させるのに
たいへん力を持ちます。
従って、この制度に則って行われた

  高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病の食事療法として、
  「糖質制限食 [4]」という食事法が、カロリー制限食 [2]の成績を上回った

といういくつかの研究に対して、

  カロリー制限食が食事療法の基本

として、糖質制限を(カルト扱いで)無視してきた学界は、

  現行のカロリー制限食では、
  その面倒さ [5]と、摂るカロリーが多すぎて治らない [6]という弱点のゆえに、
  糖質制限食を上回れないだろう

という予想もあって、有効な反論ができずにいます。
(宗教改革に堕落を難じられたローマ教会のようです)

今や、糖質制限食を支持、実行する人たちに、

  やはり、カロリー制限食が基本

であることを納得させるためには、

  臨床試験登録制度に則り、
  カロリー制限食の弱点を、このブログで述べてきた方法で克服した研究で、
  糖質制限食を上回る結果を出す

しかないでしょう。
(宗教改革に対抗して教会内部からの改革を試みた反宗教改革が必要です)

キャッチボールの球を投げ返す順番は、
糖質制限食から、カロリー制限食を主張する側に回ってきたのです。