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「損失回避性」の概念は、ダイエット法が世に入れられるために実行が容易なことが不可欠だと教えるが、実行が容易なことを説明すると理解が容易ではなくなることが困る

糖質制限や食べる順番ダイエットなどのとんでもダイエット [1]には、共通点があります。
それは、実行するのが簡単、すなわち、費用が少ない、と思われていることです。

(実際には、糖質制限を長期間続けられる人が少ないように、
 糖質(炭水化物)を減らすには苦痛、すなわち、費用が伴いますし、
 食べる順番ダイエット [2]は、ほとんどの人に効果がありません)

このように、

  効果(利益)の大きさよりも費用(損失)の少なさの方を高く評価する

傾向が人間にはあり、心理学や経済学の分野では、

  「損失回避性」

と呼んで研究の対象にしています。

損失回避性は、

  10万円の現金が必要になった時に、
  1) 7万円で買って今10万円になり、売ると3万円の利益が出る株式
  2) 13万円で買って今10万円になり、売ると3万円の損失が出る株式
  のうち、どちらを売るか?

という問題でもっともうまく表されます。

この問題を多くの人に問う実験をすると、
1) の利益が出る方の株を売ると答える人が多いという結果が出ます。
(あなたはどうでしょうか?)

そして、それは、2) で損失を現実化するのを回避しようとする人間の傾向、
すなわち、損失回避性による、と説明されます。

利益額と損失額の比が 2~2.5 : 1 のとき、それが同等に評価されることも分かっているので、
この問題なら、1) の利益額を同じ3万円にして、2) の損失額を1/3の1万円にする、
すなわち、11万円で買った株なら、損が出ても売っていい、という人が多くなることになります。
(あなたはどうでしょうか?)

このような研究の成果に従うなら、
このブログで主張しているカロリー制限を原理としたダイエット法を広めるためには、
なにより、行うときの費用(損失)が少ない [3]ことを強調すべきだということになります。
ところが、それに従って、

  カロリーを減らすと 栄養不足による弊害(損失)が出るという常識が誤っている [4]
  カロリー計算を行う面倒(損失)がなくても [5]十分にカロリーが減らせる、
  暴飲暴食の禁止 [6]運動 [7]は苦痛(損失)の割にカロリーがあまり減らず効果がない

といったことを説明すると、

  どれも事実なのに、今まで聞いたことがないので理解が困難 [8](損失)

になり、やはり話題になりにくくなります。

痛しかゆしです。