「カロリーを減らしても体重が減らない」原因は、
前回の3つ [1]の他に、これから述べる3つがあります。
今回の3つも、
減らしたつもりが現実には減っていない、
というところは前回と共通しています。
ただ今回は、
理論(現実の捉え方)が、現実をうまく反映していない
ことが原因でカロリーが減っていない場合を挙げます。
4.カロリー計算をしても、基になる目標体重や消費カロリーが
間違っている
という場合。
これも、結構ある事例です。
カロリーをどれだけ摂るのかは、
1) 身長から計算した標準体重、
2) 体重当たりの基礎代謝量、
3) 日常の運動量、
によって計算しますが、1) ~ 3) のどれでも誤差が生じます。
1) 標準体重が今の体重より多かったり、
2) 元々カロリーの消費が少ない生まれつきの体質(倹約遺伝子)があったり、
3) 日常の運動を多めに見積もったり (予定や希望が含まれるのでしょう)
すると、せっかく面倒なカロリー計算をしていても、
今まで(計算はしていなくても)実際に摂っていたカロリーより多くなっていることがあります。
ましてや、成年男子(女子)なら平均 xx00 kcal、という数字では誤差が大きすぎて、
体重を減らそうとする1人1人にはほとんど役に立ちません。
カロリーを減らすときには、
「摂るカロリー」でなく、今の食事から「減らすカロリー」を考える [2]と、
誤差がなくなり、必ず体重が減ります。
またカロリー計算をしなくても、大まかに見当を付けて、食事の量を減らす [3]と、
体重は確実に減ります。
どうしてもカロリー計算がしたい人は、
まず、今までどおり食事を作ってみて、そのカロリーがどれくらいだったかを測る
そのカロリーから、「今の食事から減らすカロリー [4]」を引いたカロリーの食事を作る
ようにすると、計算の誤差が少なくなり、体重が減っていきます。
5.以前から、カロリーを減らし続けている
という場合。
以前に摂取カロリーを減らして、その時は体重が何kgか減ったのだが、それ以降は減らない、という場合です。
これは、体重が減ることで消費カロリーが減り
(少ないカロリーに体が適応したのではありません。その理由 [5])、
減らした摂取カロリーと同じになっているので、
それ以上体重が減らなくなっている [6]ということです。
特定保健指導(いわゆるメタボ健診で行う保健指導)では、
今の生活を基準にして、
そこから腹囲が85cmになるようにカロリーを計算して減らす、
というのが標準的な方法になっています。
(ただし、体重が減ると消費カロリーが減ることを考慮していないので、
期待通りには体重が減らない残念な計算方法です。[正しい計算方法 [4]]
また、生活環境に合わせてカロリーを減らすことが考慮されていないので
あまり成果が上がっていません。[生活環境に配慮した特定保健指導の教材 [7]])
このカロリーを減らすために、具体的な実行目標を立ててもらうのですが、そのとき、
以前から実行していて現在も実行中のこと
を目標の1つに入れる人がいます。
以前から実行していますから、すでに体重が何 kg か減っています。
(報酬は、一部受け取り済み)
体重が減った分、消費カロリーも減っているので、
その時点から新たに減る体重(追加の報酬)は多くありません。
6.いわゆる停滞期
の場合。
「停滞期」として語られているのは、
カロリーについてよく知らないまま(勢いだけの)ダイエットを始めたときに、
かなりカロリーが減っていて(例:2000kcal → 1200kcal)体重も減ったが、
その後、油断やら苦痛やらでカロリーが増えてしまい
(例:1200kcal → 1800kcal)体重が減らない、
気を取り直して再度カロリーを減らし
(例:1800kcal → 1600kcal)再び体重が減り始める、
といった状況のことだと思います。
さらに、それを説明するために
「ホメオスタシス [5](体が一定の状態を保とうする働き)」や
「セットポイント [8](遺伝的にあらかじめ決まっている体重)」
のような神秘的な(正しいとも誤りとも判断しようがない)概念を仮定する人がいます。
しかし、そのようなことをして物事をかえって分かりにくくしなくても、
カロリーを減らした後の体重変化は、簡単な法則、すなわち、
- 1) 体重が減ると消費カロリーが減る
- 2) 消費カロリー - 摂取カロリー = 体重変化
の2つで説明できます [5]。
このように、理論の誤りでカロリーが減らないときがありますが、
このブログで述べきた、より正しく現実を反映した理論を使うことによって、
現実にカロリーが減り、
それに伴い体重も減っていきます。