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フィードバックについての知識を使うと、ダイエットの挫折が避けられ、体重変化が予測できるので、体重のコントロールが容易になる

ダイエットや食事療法を行う一番の目的は、
自分の思い通りに体重をコントロールすることでしょう。
(それだけでなく、筋肉量・除脂肪体重を減らさないことが大事だという人は、
 このブログにある別の記事 [1]を読んでもらうとよいのですが、
 筋肉量を増やしたい人には役立つ記事がありませんので、
 ほかのサイトを当たってください)

コントロール、すなわち、制御がどうすればできるかについては、
古くから制御論という学問で調べられています。

今回の記事では、その中からフィードバックという考え方を紹介して、
ダイエットへの応用を考えます。
……

ある原因から結果が生じるとき、
生じた結果が原因に影響を及ぼすことがあります。
(本来は、原因が結果を生じさせるので、
 結果から原因の方に影響があるというのは、ふつうとは逆方向の働きです)

その結果から原因への影響には2つあって、
1つは、生じた結果が原因をますます高じさせていく方向の影響で、
もう1つは、結果が原因を抑えに掛かる方向の影響です。
(つまり、ポジティブおよびネガティブフィードバックのことです)

1つめの、結果が原因を高じさせる、いわば火に油を注ぐ影響
(ポジティブフィードバック)の例としては、景気の過熱があります。

株価や地価が上がるから、皆がこぞって買う、
皆が買うから、需要と供給の関係で価格がますます高騰していきます。

このしくみの中には、価格の高騰に歯止めを掛ける要因が含まれていないので、
数学の世界でなら、無限大まで「発散」してしまうところです。
しかし、現実では、倍々ゲームが永久に続くはずもなく、
最後は必ず、バブル崩壊や世界恐慌に行き着きます。

ただ、人間の経済活動はバブルが崩壊しても、「これで終わり」ではありませんから、
さらに長い期間観察していると、
景気は、このような拡張と収縮または破綻を繰り返していることが分かります。
(電気に詳しい人なら、この様子が発振現象に似ていることが分かるでしょう)

もう1つの、結果が原因を抑えに掛かる、火に水を掛ける影響
(ネガティブフィードバック)の例には、
電気ポットや冷蔵庫などの温度調節があります。

セットした温度になると、
湯を暖めるヒーターのスイッチが切れて、それ以上温度が上がらなくなったり、
冷却器のスイッチが切れて、セットした温度よりが下がらなくなったり
というしくみがそれです。
また、体内の多くのホルモンや、血糖値の調節などもこのしくみで行われています。

これらのしくみが、温度などを一定に保っているところに、
しくみの外から手を加えて、設定値を変えると、
温度は新しい設定値に向かって変化していき、そこで保たれるようになります。

……

以上で2種類のフィードバックについて簡単に説明したので、
ダイエット、すなわち、体重のコントロールの場面で、
これらがどのような形で現れるかを見ます。

1つめの、火に油を注ぐ、ポジティブフィードバックから、バブル崩壊に至り、
さらにそれを繰り返す様子は、
ダイエットでリバウンド [2]を繰り返すことに相当します。

食事や運動で体重が減り始めると、その嬉しさが火に油を注ぎ、
次々といろいろなことに手を出して、体重が減り続けるが、
そのうち、食欲栄養不足の恐怖に負けて、
ダイエットを始める前よりも食べてしまうようになり、体重が元に戻ってしまう、
そして、ほとぼりがさめるとまた同じことを繰り返す…

これらを防ぐためには、
次々と手を出して熱狂に陥って、ポジティブフィードバックの輪に入り込まないこと、
食欲栄養不足について正しい知識を持っておくこと
が有効です。

2つめの、火に水を掛ける、ネガティブフィードバックは、
たまに暴飲暴食をして体重が少し増えたり、風邪で体重が減ったりしても、
結局元の体重に戻ってしまうことに相当します。

というのは、食べ過ぎて [3]体重が増えても、
今度は、それによって消費カロリーが増える [4]ので、
ふだん摂っているカロリーに応じた体重に戻っていくからです。

また、ダイエットで摂取カロリーを減らした時の体重変化 [5]は、
電気ポットの温度設定を変えた時の温度と、数学的に同じような変化をする
(底<1の指数関数:時間がたつほど体重や温度が減りにくくなる) ことが分かっています。 さらに、初めの体重、消費カロリー、摂取カロリーをどれだけ減らすかで、 その後の体重変化も具体的に予測 [5]できますが、
これも初めの温度や水の比熱などから温度変化が予測できるのと同じです。

以上で述べたように、
フィードバックによる制御の知識をダイエットに応用すると、

  リバウンドの原因になる熱狂を避ける
  挫折の原因になる食欲栄養不足についての知識を予め十分に持つ
  カロリーの減少量と開始後の日数による体重の変化 [5]を予め知っておく

ことで体重のコントロールが容易になることが分かります。

ダイエットは、やみくもに行うのでなく、
先人が見つけた知識で見通しを付けてから取り掛かる [6]べきなのです。