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糖尿病を治すためには、インスリン抵抗性に注目して、摂取カロリーを減らせばよい。インスリン分泌不全を気にして食後血糖を上げないようにしても糖尿病は治らない

私が監修した糖尿病を食事で治すための本

  「糖尿病を治す3つの法則」福士斉、主婦の友社、価格1,365円

が発売されました。(2013年8月。全国の書店、ウェブ書店:アマゾン [1]セブンネット [2]等で注文・購入してください)

著者の福士さんとは、ある健康雑誌 [3]の取材で、
他ならぬこのブログのコメント欄 [4]から取材を申し込まれたのがご縁です。
その記事が好評だったので、
福士さんが記事の内容をさらに詳しく述べた本が出版されることになり、
私が監修させてもらいました。

本のテーマは、

  食べたり飲んだりするのが大好きな福士さんの糖尿病が、
  今の常識や現行の食事療法・食事指導で治らなかったが、
  このブログでも紹介している私の理論に基づいて食べ方を変えると治った

というものです。そして、その理論を一言でいうと、

  1日の総カロリーを減らしさえすれば、体脂肪・内臓脂肪が減り、
  自分の体から出ているインスリンがよく効くようになって、血糖値が下がる

ということになります。

現行の食事指導が簡略にまとまり、今の常識をよく反映している
糖尿病治療のエッセンス2012 [5] 「食事療法のポイント」(以下、ポイント)を例にして、なぜそれで糖尿病が治らなかったかを説明しましょう。

食事療法のポイント

  1.朝食、昼食、夕食を規則正しく食べ、間食をさける
  2.腹八分目とし、ゆっくりよくかんで食べる
  3.食品の種類はできるだけ多く、バランスよく摂取する
  4.脂質と塩分の摂取を控えめにする
  5.食物繊維を多く含む食品(野菜、海藻、きのこなど)をとる

  (糖尿病治療のエッセンス2012・日本糖尿病対策推進会議編 から引用)

糖尿病の原因には、

  1.インスリン分泌不全:血糖値を下げるインスリンというホルモンが出にくくなること
  2.インスリン抵抗性:インスリンが出ているのに、肥満の人では、
    インスリンの働きを妨げる物質が出ていて血糖値が下がらないこと

の2つがあります。

現行の食事療法は、このうち、1.のインスリン分泌不全の方を重視した考えに基づいて行われています。

そのため、インスリンが分泌されにくいところへ、1度に食べる量が多いと、
一気に血糖値が上がってしまうという心配から、

  3度の食事をとり、その量を均等にして、1食当たりのカロリーを減らす
  (そうすればどの食事の後も血糖値が上がりにくくなる…ポイント1)

ことが指導されています。

他にも、食後の血糖を上げないことをねらって、

  ゆっくり食べる、(ポイント2)
  野菜など食物繊維を多くとる(ポイント5)

ことが勧められています。

しかし、これらの注意を守っても血糖値が改善しないどころか、
かえって悪化する人もいます。それは、
肥満(体重が基準値内でも体脂肪・内臓脂肪が多い隠れ肥満 [6]を含む)の人には、
糖尿病の原因2.のインスリン抵抗性があるからです。

糖尿病またはその予備群の人の血糖値が、
朝、何も食べないときでもすでに高い(健診は絶食で受けますが高いですよね)
のは、このインスリン抵抗性、すなわち、インスリンが出ていても、
その働きを妨害する物質が血糖値を下げさせないことによります。

ですから、どれだけ食後の血糖を上げないことに気を使っても、
インスリン抵抗性をもたらす肥満を解消しない限り、糖尿病が治ることはありません。

では、なぜ現行の食事療法で肥満が改善しないかというと、
食事療法で使われるカロリー摂取量が、隠れ肥満や、生まれつき消費カロリーの少ない人 [7]には多すぎるからです。

それだけでなく、改めて「ポイント」を見ると、

  ポイント1.で3食食べると、それまで2食だった人のカロリーが1食分増える
  ポイント3.で食品数を多くすると、カロリーが糖質と同じ蛋白質 [8]の摂取が増える

ことで、1日の総摂取カロリーが増えていたことが分かります。

もちろん、この2つのポイントは、決められた総摂取カロリーの中で実行すべきことで、
1食増やすなら、それまでの2食のカロリーをかなり減らさなければならないし、
食品の種類を増やすなら、1つ1つの食品の量は減らさなければなりません。

しかし、摂取カロリーが決められていても、
カロリー計算が面倒で実行できない、また始めても挫折する人が多いのが現実です。
そこで、せめて「ポイント」だけでも、と実行すると、
かえって摂取カロリーが増え、体重が増え、糖尿病は悪化することになります。

また、

  ポイント4.で脂質を減らすにも、すでにカロリーが高い油ものは控えている

ので、総摂取カロリーはほとんど減りません。

このように、今まで糖尿病や肥満に良いと勧められてきた「ポイント」は、
効果がないばかりか、かえって悪化させてきたのですが、
それは、糖尿病の原因として、1.インスリン分泌不全を重く見すぎていたからです。
また、そこから出た、守っても効果がない制約で食事療法を始められなかった患者さんがいたことも見過ごせません。

これを、原因2.インスリン抵抗性を重視するよう改め、
摂取カロリーを減らして、体脂肪・内臓脂肪が減るようにすると、血糖値が下がる

というのが著者の福士さんの糖尿病を治した私の理論です。

この理論を一般の読者にも分かりやすく解説したうえで、
福士さん自らの実践例へと展開したこのたびの本

  「糖尿病を治す3つの法則」 福士斉、主婦の友社 [9]
は、今までとは全く違った視点から書かれた真に糖尿病を治す本なのです。

このブログの読者の皆さんにも、ぜひ読んで欲しいと思います。