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医学の進歩は、それまで原因だと思われていたことがそうでないと分かったことの積み重ねで成っている(小さいことにとらわれていると治るものも治らない)

アルコールを多めに飲む人に限って「酒は止めないといけないんでしょう?」、
体重が重くて運動がつらそうな人に限って「まず運動ですよね?」、

と言います。前々回 [1]に、そう書いたように、
生活習慣病の患者さんが、治す方法として考えているのは、
「自分が一番つらいことをしないと病気は治らない」
という原理に基づいていると思えることがあります。

確かに、アルコールにもカロリーがあるので、アルコールを減らしたほうが、
運動で消費されるカロリーもあるので、運動したほうが、
いくらかでも体重が減ることは間違いありません。
しかし、1日全体で摂っているカロリーの中で、アルコールが占めているカロリーは多くありません(ほとんどは食べ物で摂っているカロリーです)。
また、運動で増えるカロリーが、1日の全消費カロリーに占める割合も多くありません。(基礎代謝=じっとしていても消費されるカロリー [2]が7~8割もあるので、運動しても消費カロリーが増える割合は多くない)
ですから、アルコールを止めても、運動しても、生活習慣病が治るほどには体重が減らないことが多いのです。(原因としてあまり寄与していない、寄与度が少ないと言います [3]

このように、初め原因だと思っていたことが、実際にはそうでなかったと判明する、ということはよく経験します

医師の側でも同じように、
患者さんに今までなかった症状が出たと聞いて、この前出した薬の副作用ではないかと思ってよく聞くと、その症状は薬を出す前からあった(だから薬の副作用ではなかった)というような例もあります。

近年の医学・医療分野でも、
薬の効果の再評価で、効果がないと判定された薬が医療現場から退場したり、
プラセボ(偽薬)は、本当に効く薬と比べるとほとんど効果がないことが判明したり、ということが起こっています。病気が治った原因は効果がないと判定された薬や偽薬ではないことが分かったのです。

医学の進歩というのは、病気の原因が、病原体など真の原因の発見により、何かの呪いや祟りではないと判明してきた歴史の上に成り立っています。
それを数の上で言うと、1つの真の原因が分かると、それまで原因とされてきた多くのものがその(原因としての)地位を失います。(1つの病原体で、「鬼」や「気」や「○○さま」や…、が全て退場したように)

肥満の原因は、カロリーの摂り過ぎ、だけで十分です。
(食事の時刻や回数や…、は早く退場してもらいたいです)