前回の記事 [1]で述べたとおり、
蛋白質を減らしてはいけない、というのは誤りで、
- 蛋白質を減らしてもよい人は多くいる、
というのが、正しい知識です。
体を作る蛋白質と、食べる蛋白質との関係は?
そのことを理解するために、内臓や筋肉を作る蛋白質と食事で摂る蛋白質の関係を知らねばなりません。
内臓や筋肉の細胞を作る蛋白質(体蛋白)は、胃粘膜や皮膚の細胞が壊れるときなどに、毎日一定の割合で壊れていきます(壊れた蛋白質は、前回述べたように、ブドウ糖などに作り変えられてエネルギーとして使われます)。
内臓や筋肉の量を減らさないためには、内臓などを作る細胞が分裂するのに必要な蛋白質を、食事で摂っていく必要があります。
ですから、1日に摂らなければいけない蛋白質の量(必要量)とは、毎日壊れていく内臓や筋肉の蛋白質の量のことなのです。
食事から摂る蛋白質の量が、この必要量より少ないと、内臓や筋肉の量が減っていくので体によくありません。
必要量の蛋白質を摂っていれば体蛋白(筋肉)は減らない
では、食事から摂る蛋白質の量がちょうど必要量と同じ時には、どうでしょうか?
必要量とは壊れていった内臓や筋肉の蛋白質の量、ですから、
食事から摂る量がこれと同じであれば、筋肉など体の蛋白質が減ることはありません。
よく、食事だけで体重を減らすと筋肉が減って(消費カロリーが減り)かえって体重が減りにくくなる、といわれますが、誤りです。
- 蛋白質を必要量以上に摂っていれば、運動を全くしなくても筋肉が減ることはありません。
蛋白質を摂りすぎると、筋肉ではなく体脂肪が増える
こんどは、蛋白質の摂取量が、必要量より多い、すなわち摂り過ぎのときはどうなるでしょう。
筋肉が増える?
残念ですが、筋肉や内臓の量は性別、(筋肉質や痩せ型などの)生まれつきの体形、無酸素運動などによって決まっています。
女性は男性ホルモン(筋肉を増やす働きがあります)が少ないので、運動をしてもなかなか筋肉が増えません。
また、体質的に、やせ型の人は、ウェイトトレーニング(無酸素運動)をしても筋肉が増えにくいという人もいるようです。
同じように、食事の蛋白質だけ増やしても、筋肉が増えるというわけにはいきません。
前回の記事 [1]で、「体を作っている蛋白質を原料にしてブドウ糖を作るしくみがある」
(体が必要なエネルギーを供給するために都合がよい)ことを述べましたが、
蛋白質からブドウ糖を作るしくみは、
体を作っている蛋白質からだけでなく、食事で摂った蛋白質からもブドウ糖を作ることができます。
ブドウ糖が作れるということは、そのブドウ糖から当然脂肪が作れますから、余った分は体脂肪として貯えられるのです。
(体重を減らそうとする人には不都合です)
ですから、正解は、
- 糖分や脂肪になってエネルギーとして使われ、余った分は体脂肪として貯えられる
ということになります。
結局、
「蛋白質を(いっさい)減らしてはいけない」というのは誤りで、
- 蛋白質は、必要量 [2]まで減らしてもよい
そして、
- 蛋白質を摂り過ぎていた人は、蛋白質を減らすと
(筋肉が減らずに、すなわち、問題は起こらずに)体脂肪・体重が減る
が正しい知識だということになります。