分類:学習、法則・論理 の記事

新たに発見されたしくみが、役に立つと分かるまでに越えなければならない関門・その1 (体全体でも働きは同じか?)

問い1:
かりに、ある脂肪を貯めるしくみが発見されて、それが夕方早い時間帯より夜遅い時間帯のほうで、よく働くことが分かったとします。
夕方の早い時刻に食事をすれば、同じカロリーの食事をしても、脂肪が蓄えられにくくなるでしょうか?

答え1:

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新たに発見されたしくみが、役に立つと分かるまでに越えなければならない関門・その2 (実験・調査に再現性はあるか?)

問い2:
同じ食事(カロリーも同じになります)を、2つのグループの人たちに、
摂る時間帯を変えて摂ってもらうという調査をしたところ、
遅い時間に摂るグループより、早い時間帯に摂るグループのほうが、
体重が少なかったとします。
前回の「体全体で」という条件は満たしています)

この結果を根拠にして、早い時間帯に食事を摂るほうが、体重が増えにくい
と言っていいのでしょうか?

答え2:

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新たに発見されたしくみが、役に立つと分かるまでに越えなければならない関門・その3 (数量的に十分な効果はあるか?)

問い3:
かりに、いろいろな調査をしても、やはり、夕食を早い時間帯に摂ったほうが体重が少ない、という結果になったとします。(前回の「再現性」という条件は満たしています)

この結果を元にして、生活習慣病の患者さんに、同じカロリーの夕食を早く食べてもらうようにしたら、治る人はいるでしょうか?

答え3:

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正しい知識を得るためには、その前提として、交絡因子や数量的な錯誤で生じた誤った知識を改めねばならない。そうして知識が深くなると、恐怖や熱狂が遠のき、効果があることを容易に実行できるようになる

生活習慣病の患者さんに食事指導をしていると、
正しい知識を知ってもらうために、
それまで知っていた誤った知識を改めてもらわねばならない場面にしばしば出会います。

例えば、「朝食を減らしてもよい」という正しい知識は、
まず、「朝食を食べないと頭の働きが悪くなる」という誤った知識を改めてもらわないと頭の中に入らないのです。

誤った知識が、なぜ誤ったかという原因(誤りの類型)は、

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食事療法の基本が、糖質制限食ではなく、カロリー制限食であることを納得させるためには、適切な手続きを経た、このブログの方法でカロリー制限食の弱点を克服した研究を行うしかない

このブログのある記事は、論拠が不十分だ、
という意見を、ある運動愛好家のSNSでもらったので、
私のほうからも意見を述べました。
書いているうちに、

  私が原理としているカロリー制限食が置かれている危うい立場と、
  それを克服する方法

が分かってきたので、今回の記事にします。

―――――(以下、SNSでの私の意見)―――――

○○○○さん、

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食べる順番ダイエットでは、体重は減らない。原理が同じ低インスリンダイエットも効果がなかったが、その原因は、体に出入りする物質を確かめていくと判明する。

「食べる順番ダイエット」といって、

  食物繊維から順に食べると血糖値が上がらず、インスリンが出ないので体重が減る

という原理を主張するダイエット法が出ています。

この原理は、10年ほど前に出た、「低インスリンダイエット」と同じものですが、
低インスリンダイエットは、(浜の真砂ほどもある)とんでもダイエットの中では、
比較的早く廃れました。

その理由は、
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保健指導を行う専門家の能力が劣っていることを指摘しても、自分の病気が良くなることはない。結果を出すためには、自分の頭を働かせることが必要。

今回は、専門家・玄人の能力をどう使うと自分の目的を実現できるか、
という話をします。

特定保健指導(メタボ健診のあとに行う生活指導)のカリキュラムを見直して、
このブログで蛋白質について書いてきたことを取り入れようとしたのですが、
指導を行う管理栄養士や保健師には必要な知識でも、指導される人に果たしてこれだけ高度な内容が必要か、と考えたことがきっかけです。

その内容とは、

などです。

で、結局、
保健指導を受ける人のなかで、意欲のある人が病気を治すきっかけをつかみやすいように、
できるだけ分かりやすい形で伝えることに決めました。
この結論になるまでに考えたことは、こうです。

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言葉という「記号」をうまく使えば、食欲やエネルギー消費を増やす薬の研究をしなくても、生活習慣病にかかる医療費を大幅に減らすことができる(言語も薬も、わずかな量で大きな作用をする記号だという点では同じ)

ホルモン、空腹感、言葉。
これらには共通して「記号 (symbol シンボル)」という言葉で表される働きがあります。
記号とは、

 わずかな大きさや量にもかかわらず、
 大きな働きをする
 物体や物質や情報

のことです。
そして、その記号が使われているものの形や性質(例えば体重)を大きく左右します。

いくつか例をあげましょう。
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