ダイエットに関係がある計算式・その3は、摂取カロリーや消費カロリーを変えたときの体重減少量を求める式。この式の意味を理解すると、ダイエット・食事療法で、何をするとどうなるかがすべて分かるので重要

消費カロリー - 摂取カロリー = 体重減少

という式があります。

これは、いろいろな意味で重要な式ですが、その1つは、

体重減少が0であれば、消費カロリー = 摂取カロリー

だということです。

(体重減少に0を代入して、摂取カロリーを移項してください)

そうすると、太っている(ただし、体重変化はない)人でも、
摂取カロリーと消費カロリーは同じだということになります。

これはおかしいのではないか、という人は、

「同じ摂取カロリーでも、消費カロリーが少ないから太っているのではないのか?」

と考えているのだと思います。

そこで、「摂取カロリーと消費カロリーは同じ」だということを、
ゆっくり、順番に見ていくと分かるように、次の例を考えました。

0.体重、摂取カロリー、消費カロリー、がそれぞれ、
  60kg、2000kcal、2000kcalのAさんがいたとしましょう。

(身長が170cmなので、太っていませんから、消費カロリーと摂取カロリーが同じ2000kcalでもいいですよね)

1.ところが、今年の1月から
  Aさんの仕事が現場から
  内勤になり、摂取カロリーは
  前と同じ2000kcalなのに、
  消費カロリーは1600kcalに
  減ってしまったとします。

2.そうすると、余ったカロリーが
  体脂肪になって、
  当然Aさんは太り始めます。
  1ヵ月後には、1~2kg、6ヵ月後には、5kgくらい増えているかもしれません。

  では、この(6ヵ月たった7月)時点で、
  Aさんの消費カロリーはどうなっているでしょう?

  実は、内勤に変わって消費カロリーが減り始めた(1月の)時期と比べると、
  増えているのです。
  というのは、(運動量が同じでも)体重が増えると、消費カロリーは増える
  (体重と消費カロリーは比例する
  からです。

  それは、重い自動車が、同じ距離を走っても、
  ガソリン(エネルギー)を多く使うのと同じです。

3.そうなると、食事からの摂取カロリーは同じでも、
  消費エネルギーが増えてくるので、
  余ったカロリーが1月(消費エネルギーが減り始めた時期)よりも
  少なくなります。

  ですから、始めの1ヵ月(1月から2月)で2kg増えていても、
  6月から7月の1カ月で増える体重はそれより少なくなっているでしょう。

  こうして、Aさんの1ヵ月あたりの体重増加は、
  消費エネルギーが増えてくるにつれて、
  (余ったエネルギーが少なくなって)だんだん減っていきます。

4.そして、そのうちに、1ヵ月経っても体重が全く増えなくなる日が来るでしょう。
  このとき、Aさんの体重は(計算上では)75kgに達しています。

  さて、この時点でAさんの状態を確認してみましょう、
  体重は60kgから75kgに増えています。
  摂取カロリーは始めと同じ2000kcalです、

  問題の消費カロリーは、
  運動量が減ったので「体重当たりの消費カロリー」は減りましたが、
  体重が1月のときよりも増えたので、結局はじめと同じ2000kcalになります。
  これは、摂取カロリーと同じです。

5.つまり、体重変化が0であれば、摂取カロリーと消費カロリーは同じ、
  だということになります。(これが結論です)

上の経過をまとめておくと、

1.運動量が減って、消費カロリーが減ったあと
2.余ったカロリーの分、体重が増える、
  体重が増えると、その分消費カロリーが増える、
  (重い自動車がガソリンを多く消費するように)
3.消費カロリーが増えた分だけ、体重の増え方が少なくなっていき、
4.消費カロリーと摂取カロリーが同じになったところで、
  それ以上体重は増えなくなる

ということになるので、話の筋をつかんでほしいと思います。

また別の言い方で、

  消費カロリーが摂取カロリーより小さいときは、
  「太っている:体重が重い」のではなく、
  「太っていく:体重が増える」

と考えると分かりやすいかもしれません。

もうひとつ別の言い方は、

  生活活動強度指数が減って一時的に消費カロリーが減っても、
  体重が増えることによって、結局消費カロリーは元と同じ
  (摂取カロリーとも同じ)に戻る

ということになります。

あまり分かったような気がしない、という人は、
ゆっくり、もう一度図を見ながら、読んでいってください。

なぜなら、消費カロリーと摂取カロリーの差が、体重減少になる、という式は、
消費カロリーと体重が比例する、という式と組み合わせると、
ダイエット・食事療法のときに、何をするとどうなるか、が分かる
たいへん重要な式だからです。

コメント / トラックバック9件

  1. taijuuh より:

    当サイトの管理者です。
    グラフの摂取Eが増えている、とのご指摘ありがとうございました。
    おっしゃる通りで、本文の内容と異なるグラフを表示していました。
    正しいグラフに差し替えたので、もう一度読んでいただれば幸いです。

  2. 匿名 より:

    このエントリにあるグラフについて
    一見すると、摂取Eも増えたように見えてしまいます。
    内勤になる前の状態から内勤になった以降の推移までを、摂取Eが本当に変わっていないように見えるようなグラフにすれば、なおわかりやすいのではないかと思いましたので。

  3. […] 生活習慣病の患者さんたちの体重が重いということは、 摂ってい […]

  4. […] 蛋白質を必要量以上に摂っても、 (蛋白質のカロリーを含めた)総 […]

  5. taijuuh より:

    A.H. さん

    ○○○○(医療機関名)、このサイト・ブログのご利用、ありがとうございます。

    体重方程式」 のサイトでは、
    高脂血症など生活習慣病を治すために 「食事から減らすカロリー」 を
    今の生活環境の中で 「減らしやすい食事」 から減らすと
    これからの食事」 がどうなるか、

    だけでなく、(以上、宣伝すみませんでした)

    体重予測のグラフ」 で何か月後に、何kgになるかも分かるので、
    ご活用ください。

    >>結構きついですが

    とのことですが、人間の感覚には適応力があるので、
    続けていると、新しい食事の習慣にはすぐ慣れると思います。

    その他、実行中につらいことや、疑問点などがあれば、
    こちらのコメント欄、または、○○○○(医療機関名)まで、
    お問い合わせください。

    どうぞ、お大事に。

  6. A.H. より:

    お世話になります。
    先日は、○○○○(医療機関名)で、お話いただきありがとうございました。
    早速、計算式に体重等必要事項を記入しました。
    やはり、昼食を抜くのが一番やりやすいという結果になりましたので、早速昼食抜きとしております。結構きついですが、目標の体重60kgまでがんばってみようと思います。何とか薬抜きで、高脂血症を治したいと思います。

    では、お仕事がんばってください。

  7. […] 消費カロリーより摂取カロリーのほうが多い、だからあなたは太って […]


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