容易に確実な効果が得られるダイエット法は、体の仕組みに合わせているので少し複雑。しかし、ゆっくり学べば理解は難しくない

この数年はダイエット自体が興味を持たれなくなり、
新聞やテレビで取り上げられることも減ったように思います。

これは、今まで出てきたダイエット法の総体が、
その成否を評価されたからでしょう。すなわち、
日本人のダイエットは成功して肥満が無くなった、または無くなりつつあるのか、
それとも大きな効果が無かったのかのどちらかだということです。

どちらであるかは明らかです。
診察室で診るメタボリックシンドロームの患者さんが減っている様子はないし、
肥満人口が減少に転じたというニュースもないので、
今まで出たダイエット法ではあまり効果が上がっていないのです。

方法が効果を挙げるためには、5つの条件が揃う必要がある

ダイエット法に限らず、ある方法が論じるに値するほどの効果を上げるためには、
その方法が多くの人に

1.知られている、
2.理解されている、
3.実行されている、
4.実行が継続されている、
5.本当に効果がある、

ことが必要です。

今までのダイエット法は、一部の人で一部の条件が満たされていても、
「多くの人で本当に効果がある」という条件が満たされていないから、
その効果は論じるに値しないし、興味を持たれなくなって当然になります。

このブログサイトで紹介している方法も、
「今まで出たダイエット法」に含まれているので、例外ではなく、
初めの2つの条件、「1.知られている」「2.理解されている」が満たされていません。

難しい原因は、込み入っていることと、耳慣れないこと

このブログの方法が「2.理解されていない」原因は、
内容が理解され難いことで、
さらに、理解され難い原因としては、

  複雑:人間が太ったり痩せたりする仕組みが込み入っている
  新奇:内容が今まで言われてきたことと異なる

ことが挙げられます。

その複雑さと新奇さは、
特定保健指導(メタボ健診のあとの生活指導)を受けようとする、
意欲も分別もある受講者に、
1時間掛けて講習しても十分には理解されないほどです。
(その結果、全国平均を大きく上回る効果は出ていますが、
 私が思う水準には達しない結果になります)

私のほうは、難しい内容でもゆっくり繰り返すようにすれば理解できることを
把握したうえで講習を進めているのですが、
受講者全員に完全な理解を求めるのは酷だろうとも思います。

かくして、容易に実行できて確実に効果がある方法も、
今は、理解のところでつまずいて、効果を出した人は多くない、
その結果、あまり「知られていない」ことになっています。

ひとたび理解されれば、普及は速い

かつて、17世紀にニュートンが発見した力学の法則が、
高校の課程でほとんどの人が習うようになるまで300年掛かり、
アインシュタインの相対性理論が学部の学生でも理解できるようになるのに
100年掛かったそうです。

時代の進み方は速くなっているので、
私のダイエット理論掲載書籍)が世に出てから、人類が肥満を克服するまでに、
そこまでの年月は掛からないだろうと思っています。

コメント / トラックバック15件

  1. […] ここまでで述べた誤った知識を主張する科学研究があれば、 それは、研究の主題が、飢えへの恐れから発想されていて、 その主題に一致する実験結果が選び取られ、強調されて、 誤った結論が出やすくなるからです。 それらの研究が誤りであることは、常識や経験で分かります。 (たとえば、失神している人を見て、お腹が空いているのだから何か食べさせよう、  とは考えないでしょう?) 分かってしまうと、肥満の克服までそれほど時間は掛からないはずです。 […]

  2. […] その原因の一つは、この患者さんが言うように、 現在の常識と違ったことばかり書いてあるから、と私自身は把握しています。 […]

  3. tym より:

    お返事ありがとうございます。
    そうですね!一年目はまず、目標体重、目標体脂肪率を目指して頑張ります。
    たとえ上半身が痩せ型で下半身が太めな身体になったとしても、全体的に太くて下半身が異常に太い今よりは確実にバランスが良いと思いますので(笑)

    長々として質問をしてしまいすみません。
    素早いアドバイスありがとうございました!

  4. taijuuh より:

    tym さん

    今まで医師たちは、部分痩せはできない、と言ってきました。

    ところが、内臓脂肪の存在が言われ始めてから、
    減量時は皮下脂肪より先に内臓脂肪が減る、
    ということも言うようになりました。
    これは、おなかの「部分」が他の部分よりも痩せると言っているわけで、
    部分痩せの一種と言えると思います。
    また、顔はなかなか痩せない、ということもよく言われますので、
    減量時には、脂肪が減っていく順番があるのかも知れません。

    ですから、tym さんの場合もおなかや上半身の脂肪が減った後、
    下半身の脂肪も減っていく可能性はあると思います。
    (カロリーを減らしさえすれば、どこかの脂肪が必ず減りますので)

    ただ、女性の場合、極端にカロリーを制限したり、
    体脂肪率が減りすぎたりすると、無月経になることがあるので、
    (よく20%以下になると危険と言われます)
    体脂肪率が20%に達した後、慎重に体重が減るのを待つとよいと思います。

    計算上は、(あくまで計算上です)

    ダイエット開始時から半年後に、
    摂取カロリー減少量を初めの1.5倍に増やして、
    さらに半年たつと体脂肪率20%になる。
    (ただしこの間に体調に異変があれば、目標体重に達するのは遅れますが、
     摂取カロリー減少量は減らす、すなわち、摂取カロリーは少し増やします)

    この時点で、初めの摂取エネルギー減少量に戻すと、
    その体重がずっと維持できる。

    というのが標準的な方法ですが、
    ここで、摂取カロリー減少量を1.5倍のままで続けると、
    体重・体脂肪はさらに1か月に1kgくらいの速さで減り続けます。

    ですから、体調を見ながら、あと何か月か続けてみると、
    希望される体形が獲得できる可能性はあると思います。
    (期待しすぎは困りますが)

    ただし、途中で体調に異変を感じたら、その時点で体形はあきらめて、
    摂取カロリー減少量を初めに戻し、体脂肪率20%を維持するのがよいと思います。

    少し長くなりましたが、
    以上が現時点で考えられる、下半身痩せチャレンジ計画です。
    その助走段階として、
    1年前後で目標体重・体脂肪率が得られるように、
    確実に摂取カロリーを減らすことと、
    週に1~2度、体重・体脂肪率の測定(除脂肪組織体重の計算)を
    続けられるとよろしいと思います。

  5. tym より:

    優しいお言葉、ありがとうございます。
    頑張ります。

    恥ずかさまかせに、もう一つだけ質問させて頂いても宜しいですか。
    私は体重、体脂肪率では太っていなかった中学一年生の頃から、下半身が太めで上半身が細めだったのですが(女性の感覚での太めではなく、周りの大人から見て脚が太いと言われていました)現在は異常に下半身が太く、上半身、バスト、顔にしたがって脂肪が普通体型に近づく、いわゆる本当にバランスの悪い洋ナシ体型です。周りからも、顔と脚が同一人物とは思えないと言われています。
    以前何かで、脂肪は全体的にまんべんなく減らすことしか出来ないと読んだのですが、やはり中学生の時のように下半身が太めで上半身が痩せ型になるしか減量の方法はないのでしょうか。
    お忙しい中、質問ばかりですみません。
    回答お待ちしています。

  6. taijuuh より:

    tym さん

    おー、
    そうでしたか。

    素晴らしい偶然でしたか。
    というより、tymさんの素晴らしい感覚を讃えるべきですね。

    ともあれ、これは幸先よろしいですから、
    ぜひ成功していただきたいです。

    「□マークのドラッグ」は、パソコンで試してください。(再入力が必要ですが)
    数字だけでなく図で見ることで、追加の感動があるかもしれません。

  7. tym より:

    お恥ずかしい話で書き込むのをためらってしまうのですが…
    先生を驚かせてしまいましたので、正直に書かせて頂きます。

    私も8月7日の夜に計算をして気持ち良いくらい理想体重と理想体脂肪率が一致したので、とても驚きました。
    正直に言うと…偶然です。すみません!
    こんなに理論的に教えて下さるブログを拝見させて頂きながら、本当にお恥ずかしい話です。
    私はとても感覚任せに生きてきましたので、このブログを読んでの感動は凄いものでした。理論的に考えられるダイエットなんてあったのか!なんて感動しながら、闇雲に走るダイエットからせっかく抜け出せたのに、肝心なところをやはり感覚で決めてしまっていたようです…。
    私が今とほぼ同じ身長で一番体重が軽かった頃は、中学一年生の時、直前にあまり食べないようにして挑んだ体重測定49.5キロだったと思います。そして私の身長でのBMIが55キロ程度だということ、BMIは少し重ために出ると聞いたことがあり(すみません、先生のブログにはもっと詳しく書いて下さっているのに…)中学の経験から50キロを切るのは身体的に厳しかった、かといって55キロはどうなのだろう…何となく切りも良いし、目標としてやる気も出るし、実現出来そうな52キロにしよう!
    という以上が正直なお話です。
    こんなに親身にお返事を頂いているのに、申し訳ないです。

    ちなみに何故半年後以降の行く末を質問したのかと言いますと、私はスマートフォンを使用してこのサイトを拝見していましたので、本文を拡大していたため半年後以降のグラフがドラッグすれば見られるということに気付けませんでした。また、先ほど試みたのですが、私のスマートフォンではドラッグ出来ないようでした。

    色々なことが重なり、先生に質問をして、たまたま嬉しい偶然があり、今となれば自分が無知で感覚屋なことすら良かったのかと思います。
    先生には本当に申し訳ないのですが…。
    偶然の目標でしたが、後から気付いたとしても目標にすべき数値でしたので、頑張ります。
    理解はまだまだ薄そうなので、これからもサイトを拝見させて頂きたいと思います!
    本当にありがとうございます。長々と失礼しました。

  8. taijuuh より:

    tym さん

    2011年8月6日 4:34 PM のコメントで、目標体重52kgと書いておられたのは、以下の手順で得られた数字を書いておられたのだと思っていました。

    体重方程式-1.カロリーを減らす2.無理を減らす3.手間を減らす
    のページに入力して、
    4.挫折を減らす
    のページで[体重のグラフを表示する]のボタンを押すと、グラフの右に
    [□を左にドラッグするとその後の体重変化が分かります。]
    という説明が現れ、そのとおりに「□マーク」を左にドラッグすると、
    6か月以降10年後までの体重変化が現れ、
    tym さんの体重が52kgで落ち着く様子が表示される。

    このグラフは、1.カロリーを減らす のページで入力した体重と体脂肪率から
    体脂肪率が20%になる体重を計算して、
    それに合わせて体重の目盛を表示しています。
    すなわち、計算上 tymさんの体脂肪率が20%になる体重は52kgです。

    ところが、2011年8月7日 9:15 PM のコメントを拝見すると、
    たまたま目標体重を52kgにされたようにも思われ、
    だとしたら偶然の一致で驚くべきことです。

    どのような事情だったのかお知らせいただければ幸いです。

    また、もし「□マークのドラッグ」をご存知なかったのであれば、
    計算上とはいえ、Δ520kcalを続けると、体重が52kgで維持される様子が
    表示されますので、一度お試しになることをお勧めします。

  9. tym より:

    ありがとうございます。
    不安になってしまった際に、相談できる専門の先生と出会えたことは、本当に嬉しく感じています!

    除脂肪組織体重についてもありがとうございます。
    自分が何キロになった時に、一体体脂肪率はいくらならば除脂肪組織が維持出来ているのか知ることができました。
    計算してみたら驚くほど平均的な数値が出て、私も痩せたら体脂肪率20%にちゃんとなれる身体なんだと理解できたら、まだ成功もしていないのに笑顔になってしまいました(笑)
    実行させて頂きます。ありがとうございました!

  10. taijuuh より:

    tym さん

    ご理解いただけたようで、説明のし甲斐がありました。

    蛋白質不足の時には、
    除脂肪組織体重=体重×(1-体脂肪率/0.8)
    が減って警報になるので、
    体重、体脂肪とともに記録していくことをお勧めします。
    (この前、早めに気付いて事なきを得た患者さんがいたので書いておきます)

    その他、実行していて思うように体重が減らないときや、
    つらくて挫折しそうな時があればまたコメントください。
    お力になれるかもしれません。

  11. tym より:

    ご回答頂きありがとうございます。

    一ヶ月半の間、三食少しずつ減らしてカロリー表を見て1500kcal以下にしようとしていたので、もしかして誤差があった日の方が多かったのではないかと感じました。
    減少が3キロしかなかったのも、運動もしているし1500kcalまで食べれる!という私の考えのゆるさが原因だと思いました。

    一食に絞れば、カロリーを考えるのも簡単。というか一食で1200kcal以上毎日摂取し続ける恐れはないと思いますので、ご説明頂いて、より確実性があり簡単だと感じることができました。実行します。
    蛋白質の摂取にも少し気を遣おうと思いますが、炭水化物過多などでない限り普通の食事で摂取できるということでしたので、あまり蛋白質を意識し過ぎず過ごしてみます。

    半年後以降減らすカロリーを1.5倍にして目標体重に到達できるということで、安心できました。減らすカロリーと体重減少が比例するということも、先生のご説明を読んで、分かりやすく理解できました。ご説明頂けて、自分の目標までのプランが立てることができましたので、自信を持ってスタートします。
    また問題などが起こった場合、書き込ませて頂くかもしれませんが、その時は宜しくお願いします。

  12. taijuuh より:

    tym さん

    ようこそいらっしゃいました。

    > 食事を1500kcal以下、ジムで筋トレとウォーキングが一ヶ月半で、Δ3kg

    とのことですね。

    減量時には脂肪組織以外の細胞外液からも水分が排泄されるので、
    「メタボ氏のための体重方程式」p.200
    減り方としては、少し足りない目だと思います。

    ですから、体重方程式のサイトで出た「夕食1食だけ」で1200kcalくらいの食事にすると、
    (運動ができないときや、消費カロリーが少ない体質だった場合を考え少な目の数字にしました)
    効果が確実で辛くないと思います。

    続けていただくと、
    体重方程式-4.挫折を減らす でご覧いただいよりも速く(食事のカロリーを少なめにしたため)体重が減ると思います。

    > 半年後以降…どれくらいの期間で減らす

    計算上は(計算上です)、

    半年後から、初めの摂取エネルギー減少量の1/2を追加して減らす
    (tym さんの場合は、ダイエットを始める前からΔ780kcalの摂取カロリーになります)
    のを半年続けると当初の目標体重に達し、
    その後、当初の摂取エネルギー減少量(Δ520kcal)で維持できることになります。
    「メタボ氏のための体重方程式」p.203 巻末注5 摂取E減少量の追加  )

    その際、リンク先にも書いてありますが、
    蛋白質の必要量を確保するようにご注意ください。

    そうでないと、 除脂肪体重を解説したページ にも書いたように、
    除脂肪体重・骨格筋量が減ってしまい、
    体重が52kgでも、体脂肪率は25%にまでしか減らなかったりします。

    > サイトの内容が理解できていない

    ことはなく、良い質問をいただきました。

    数字は面倒ですが、きちんと向かい合った分だけ、物事(世界)への理解が深まり、自信を持って実行できるようになります。

    以上の説明でさらに疑問があれば、もう一度ご質問ください。

  13. tym より:

    初めてコメントさせて頂きます。

    25歳の学生、女性です。
    一ヶ月半ほど前に71キロ体脂肪率36%という数値を叩き出してしまい、このままではいずれ病気になると思い、遅ればせながら減量を開始致しました。
    食事を1500kcal以下に、ジムで筋トレとウォーキングをするようになり、現在3キロほど落ちました。
    無知なまま自己流で始めたので、このサイトを最近発見し、大変勉強になっております。

    体重方程式を利用した際の質問です。
    私は現在減らすべきカロリーが520kcal、朝、昼を食べないという結果が出ました。この場合で半年後61キロぐらいになる計算でした。
    目標体重を52キロ程度と考えていたので、半年後以降の10キロはどのように落としていけば良いのだろうと、少し不安に思いました。
    どんどん減る量が少なくなるということでしたので、一体どの程度までどれくらいの期間で減らすことが教えて頂きけたら幸いです。
    サイトの内容が理解できていない質問をしていたとしたら申し訳ありません。

  14. taijuuh より:

    はあ、どうも。(○レタ○さんでしょうか?)

    ITALさんと言えば、
    http://book.akahoshitakuya.com/b/44224*****
    このITALさんでしょうか?
    でしたら、拙著をお読みいただき、ありがとうございました。

    > 教える側が知っていればいいもので

    物理学科でない学生が相対性理論を理解することはしていることは、
    今も、これからもないでしょうから、仰せのとおりだと思います。
    拙著「メタボ氏の…」も、数式部分は巻末注に集めてはいます。

    ただ、その教える側が、忙しいやら、数式が面倒やらで、
    知ってもらうのが難しいのです。

    何か良いお考えがあれば、ご教示ください。

  15. ITAL より:

    ダイエット板ではどうも。
    「全ての人に効果があるダイエット法」については、実践者ではなく教える側が知っていればいいもので各人は「自分に効果がある方法」だけ知ってればいいのではないかなあ。

    古いけど、10年ちょい前の大野誠氏の本などがそういう作りだった気がします。


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